2023 Fiscal Year Annual Research Report
Support for the Elderly to Regain a Normal Life after an Earthquake: Comparative Sociology of the Great East Japan and Kumamoto Earthquakes
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18K01986
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
本多 康生 福岡大学, 人文学部, 准教授 (50586443)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熊本地震 / 生活支援相談員 / 民生委員 / 避難所 / 仮設住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2016年4月に発災した熊本地震(最大震度7)で甚大な被害を受けた熊本県X村で実施した民生委員の調査に基づき、災害時の民生委員活動の特性を考察した。その結果、熊本地震の本震では、発災後の支援活動に伴う公務災害死が問題になった東日本大震災の教訓を民生委員自身が十分に理解していたため、発災直後の避難支援行動は極めて抑制的であったことが明らかになった。その一方で、被災によって地域の共同性に裂け目が生じたことによって、地域住民が援助者になる民生委員制度の矛盾が顕在化し、民生委員がヴァルネラビリティを深めることにもつながっていた。災害時には民生委員のケアが一層緊要となることが示された。 本研究では、熊本地震の被災者がいかなる困難に直面し、どのような支援を必要としているかについて、被災者の相談支援や見守りを担う地域支え合いセンターの生活支援相談員の視点から総合的に考察した。被災者は、地域のつながりを軸にすると、①震災後も地域のつながりがある被災者、②震災で地域とのつながりが希薄になったり喪失したりした被災者、③震災前から地域のつながりが希薄であったり周辺化されていた被災者、の3つの類型に分けられた。生活支援相談員は、そのような被災者を日常生活の継続的な見守りや支援によって関係機関につなげることで、地域の一員として生きられるよう支えていることが示された。
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