2020 Fiscal Year Research-status Report
個人に合わせた生活習慣を提案する糖尿病リスクスコアの開発と効果検証
Project/Area Number |
18K01988
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization Kyoto Medical Center |
Principal Investigator |
葛谷 英嗣 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 客員研究室長 (20115835)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究室長 (40335443)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 糖尿病 / リスクスコア / 個別化医療 / 機序計算モデル / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
ライフスタイルの近代化と高齢化に伴い、糖尿病患者は約1,000万人と増加し、その対策が急務とされている。糖尿病予防に向けての危機意識を高めるために、今までに様々な糖尿病リスクスコアが開発されてきたが、その効果は弱かった。その理由として、一時的に対象者の危機感は高めるが個人に合わせた具体的な生活習慣を提案しないからであった。また、従来のリスクスコアは観察研究のベースラインデータを用いているため、生活習慣の変化には対応できていないことが判明した。ごく最近、米国で行われた糖尿病予防研究プログラム(US DPP)と食事介入研究で体重やHbA1c値をシュミレーションできる機序計算モデルが開発された。そこで、従来の糖尿病リスクスコアの短所を補うべく、機序計算モデルを用いて新たな糖尿病発症予測システムの開発を行うのが本研究の目的である。本年度は、糖尿病予防のための戦略研究 J-DOIT1の被験者2,607名のデータの中から120名を抽出し、個人毎に生体指標(体重、空腹時血糖値、HbA1c)の時系列データに近似させた。予測データのRMSE(Root Mean Square Error、平均平方二乗誤差)は、通常の臨床的測定エラー範囲におさまった。モデルの近似により、個々人の生理学的特性(エネルギー必要量など)や実際のライフスタイルの変動を表すパラメータを推定することができた。機序計算モデルを用いることで個人の生体指標の5年間の変動を予測することが可能であった。また、心理学的ストレスや体重測定頻度と糖尿病発症との関連についての検討を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病予防のための戦略研究 J-DOIT1の被験者2,607名のデータを用いて、個人毎に生体指標(体重、空腹時血糖値、HbA1c)の時系列データに近似させることができたから。また、心理学的ストレスや体重測定頻度と糖尿病発症との関連も明らかになったから。
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Strategy for Future Research Activity |
J-DOIT1は、空腹時血糖異常者2,607名を無作為に支援群と自立群に割付した電話支援による大規模な介入試験である。年齢、BMI、血圧、血液検査、食事・運動・睡眠・変化ステージなどの生活習慣や心理の調査票のデータから支援群と自立群からマッチさせた症例を抽出し、モデルの近似用群と実験群に区別した。モデルを個人毎に生体指標の時系列データに近似させるとともに、最適なエネルギー摂取量やお勧めの栄養素バランスを推定する。また、エネルギー摂取量をどの程度減じるかで5年間の生体指標の推移を予測する。さらに、個人毎に炭水化物比率を変えることで最適な炭水化物比率による各種生体指標の変化を予測する。予測データのRMSEには、通常の臨床的測定エラー範囲(格差5%以内)を採用する。
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Causes of Carryover |
当該年度はCOVIDの為、旅費等の移動費の支出がなかったため、次年度に繰越しすることとなった。
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