2018 Fiscal Year Research-status Report
戦後大衆社会の形成と出版メディア―戦時中との連続性と戦後民主主義に着眼して―
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18K02001
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
阪本 博志 宮崎公立大学, 人文学部, 准教授 (10438319)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 1950年代 / 大宅壮一 / 『週刊朝日』 / 神吉晴夫 / カッパ・ブックス / 「ひととき」 / 希交会 / 戦後民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主要な研究成果は次の3点である。 第1に、前年度に引き続き『高度成長期の〈女中〉サークル誌――希交会『あさつゆ』』の第3回配本(第7巻・第8巻)を2018年9月におこない、第4回配本(別巻第1巻・第2巻)を2019年3月におこなった。これをもって全10巻が完結した。希交会ならびに『あさつゆ』については、2019年4月3日発売の『東京人』5月号に、「「希交会」発足より65年「女中」サークル誌「あさつゆ」に見る戦後民主主義」を寄稿した。 第2に、『週刊朝日』等の週刊誌・『平凡』『明星』・『文藝春秋』・『世界』・「カッパ・ブックス」といった1950年代の出版メディアのなかに、出版メディアのオピニオンリーダーであった大宅壮一の活動を位置づけ(彼の戦時中の活動も踏まえ)考察した論考を脱稿した。これは、2018年7月に三田社会学会においておこなった口頭発表を発展させたものであり、次年度刊行予定の単行本に収録される。なお、2019年3月に発行された『立教大学江戸川乱歩記念大衆文化研究センター センター通信』第13号の「アンケート 大衆文化と乱歩に関する本」において、『平凡』『週刊朝日』「カッパ・ブックス」それぞれについての関連文献を紹介した。 第3に、2018年10月に開かれた「東アジアと同時代日本語文学フォーラム」において、1962年にカッパ・ブックスの1冊として刊行された大宅壮一『この目で見たソ連』を取り上げ、(カッパ・ブックスを創刊した)神吉晴夫と大宅壮一の戦時中の活動と戦後の活動との連続性を考察する口頭発表をおこなった。この内容は、次年度に文章にまとめ発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『高度成長期の〈女中〉サークル誌――希交会『あさつゆ』』全10巻を完結できたことをはじめ、研究を進めることができた。また、この過程では当初想定していなかった知見等を得ることができた。そのいっぽうで遅れている部分もあるので、そこは次年度に詰めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
1950年代の出版メディアにかんして引き続き調査研究を進める。その過程では、活字メディアという点で出版メディアと隣接する、新聞も視野に入れる。
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Causes of Carryover |
次年度の調査費用(旅費・文献複写代金等)にあてる予定である。
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