2020 Fiscal Year Research-status Report
戦後大衆社会の形成と出版メディア―戦時中との連続性と戦後民主主義に着眼して―
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18K02001
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Research Institution | Miyazaki Municipal University |
Principal Investigator |
阪本 博志 宮崎公立大学, 人文学部, 准教授 (10438319)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 歴史社会学 / メディア史 / 大宅壮一 / 『サンデー毎日』 / 江戸川乱歩 / 加藤日出男 / 若い根っこの会 / 勤労青少年 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主要な研究成果は、次の3点である。 第1に、1950年代から1960年代にかけて国民的評論家として活躍した大宅壮一(1900~1970)の最晩年の連載「サンデー時評」(『サンデー毎日』1965年10月17日号~1970年11月1日号)全244回に、私が作成した「主要人名索引」「解題」を付した、『編集復刻版 サンデー時評』全2巻を六花出版から刊行した。この連載はその重要性の大きさにもかかわらず『大宅壮一全集』には190回分の再録となっており、完全なかたちでの単行本化は、これが初めてである。 なお大宅壮一の最晩年の活動については、1967年から1970年まで主宰した「大宅壮一東京マスコミ塾」についてまとめた、拙稿「没後50年 大宅壮一東京マスコミ塾でめざした「人間牧場」とは」を『東京人』2020年12月号に寄稿している。 第2に、戦間期における大衆社会化状況下の出版メディアにおいて重要な存在である江戸川乱歩(1894~1965)について、共編著『江戸川乱歩大事典』を勉誠出版より刊行した。同書は「人間乱歩」「社会」「ミステリー」「メディア」の4部構成となっており、私はおもに「社会」「メディア」を担当した。それとともに、「大衆」「アドバルーン」「平凡社」「光文社」「『中央公論』」の項目を執筆した。 第3に、高度経済成長期における未組織の勤労青少年を探究するうえで重要な出版物である、加藤日出男(1929~2019)の1957年から1965年にかけての著書から8点を、金沢文圃閣から復刻刊行した。加藤は、高度成長期最大の勤労青少年サークル「若い根っこの会」の創始者であり、終生会長を務めた人物である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、当初予定していた(宮崎県外での)調査を遂行することができなかった。また、2020年10月に国外で開催予定であったフォーラムでのパネル発表を2020年3月に応募し、4月に採択を受けていたが、同フォーラムがコロナ禍のため1年延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度同様、コロナ禍以前に収集したデータの活用をはかる。また、生活・研究の拠点が2021年度より東京都になる。可能な範囲での調査を進める。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、当初予定していた(宮崎県外での)調査を遂行することができなかった。また、口頭発表予定であった国外でのフォーラムがコロナ禍のため1年延期になった。 次年度は、社会状況を見据えつつ、適切に使用していく。
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Remarks |
社会への発信としては次のものがある。短期連載「没後50年大宅壮一をよむ」を『週刊読書人』2020年10月23日号から4回行った。『西日本新聞』12月6日朝刊に「大宅壮一 晩年の炎」を寄稿した。同紙2021年2月13日朝刊に巖浩『有題無題』の書評を寄稿した。地域への発信としては、11月22日のMRT宮崎放送のラジオ番組「サンデーラジオ大学」に「没後50年 大宅壮一の生涯」のテーマで出演した。
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Research Products
(10 results)