2021 Fiscal Year Research-status Report
社会的少数者の家族成員間での体験共有と関係性の(再)構築をめぐる研究
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18K02003
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
黒坂 愛衣 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (50738119)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ハンセン病問題 / 社会的少数者 / 家族 / 差別 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度から続く新型コロナウイルス拡大の影響により、フィールドワークの困難な一年となった。ハンセン病療養所への訪問が不可能であったことはもちろん、外の社会で暮らす療養所退所者やハンセン病家族も、現時点で聞き取りをお願いできる方々のほとんどがご高齢であり、わたしが生活する東北地方からは遠い地域で暮らしているため、調査の実行が困難だった。部落差別問題等をめぐる調査も、可能性を探ったが実行できなかった。研究テーマの性質上、Zoom等を利用したオンラインでの聞き取りは、語り手との信頼関係構築には向かないため難しいと考えている(高齢者ではなおさらである)。 そこで今年度は、オンラインによる研究会を積極的に企画し、本研究課題にかかわる検討を深めることにした。 慶應義塾大学元教員の長沖暁子さん(リプロダクティブ・ライツ/優生保護法問題学習会)、「ハンセン病問題を共に学び共に闘う全国市民の会」の太田明夫さんおよび浜崎眞実さん(ハンセン病問題/「ハンセン病問題自主ゼミナール」以下同じ)、弁護士の小林洋二さん(ハンセン病家族裁判)、ハンセン病家族訴訟原告団団長の林力さん・原告番号21番さん(ハンセン病家族問題)、盈進中学高等学校校長の延和聰さん(人権教育)、解放社会学研究所所長の江嶋修作さん(部落差別問題)、NPO法人マイフェイス・マイスタイル(見た目問題)、大阪教育大学名誉教授の森実さん(同和教育)、参議院議員の石川大我さん(性の多様性・差別禁止法)、石川准さん(障害者差別)、「兵庫在日外国人人権協会」代表の藤川正夫さん・「兵庫在日韓国朝鮮人教育を考える会」の孫敏夫さん(在日朝鮮人とハンセン病問題)、トランスジェンダー生徒交流会世話人の土肥いつきさん(性の多様性と教育)である。 成果物としては、埼玉大学大学院の紀要にハンセン病問題の聞き取り1編をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査計画段階では、フィールドワーク及び聞き取り調査を中心に計画を立てていた。一昨年度までは概ね良好な進行具合であったが、昨年度から続く新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、調査を計画通りには進めることができていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度も引き続き新型コロナウイルス感染症による影響が見込まれる。過去に行なった聞き取りの文字起こしをしての記録化をすすめたい。すでに数多く蓄積しているハンセン病問題の聞き取りデータを中心に、社会的少数者の家族成員間の“体験の共有”と、それによる関係性の再構築をめぐる問題について検討を深める予定である。
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Causes of Carryover |
フィールドワークを中心に調査研究の実施計画を立てていたが、昨年度に引き続き、今年度もまた新型コロナウイルス感染症拡大の影響のため調査をほとんど実施できず、次年度使用額が生じることとなった。次年度は調査研究ができることを期待している。
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