2019 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化とインドの排外主義:インド北東部におけるムスリム排斥を事例に
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18K02008
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
木村 真希子 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (90468835)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 南アジア / インド / アッサム / 排外主義 / ムスリム / 移民 / 排斥 / 社会運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は課題2「アッサム州におけるムスリムの排斥の歴史と現代的課題」について資料収集と現地調査を実施した。具体的には2019年8月後半の二週間、現地調査を実施し、アッサム州におけるムスリムの団体で活動する個人を中心に連絡を取り、活動の状況とそれぞれの団体の歴史的背景について知見を得た。また、アッサム州と首都デリーにおいて資料収集を実施した。 2020年2月後半には上記で聞き取りをした団体の中からJhai Foundationの活動地を訪問し、アッサム州で進行中の全国市民名簿(NRC)とその被害について聞き取り調査を実施した。Jhai Foundationは2014年に発足した新しい団体であり、近年の新しいニーズを反映した団体であるため現地調査の対象とした。さらに、現在進行中のNRC改訂作業についての同団体の活動についても知見を得、結果的に3年目に実施予定の課題3「アッサム州のムスリムの市民的活動と国際的なネットワーク」についても予備調査を進めることができた。 ここまでの研究成果の発表としては、日本平和学会学術誌『平和研究』56号に「インド・アッサム州における人の移動と人権保障――全国市民登録簿(NRC)更新問題を中心に」を発表したほか、International Convention of Asian Scholars(ICAS)の第11回大会において、"Who are the Citizens in Assam? --NRC Update in Assam, India--"というテーマで報告を実施した。 昨年度の調査で把握したように、NRC実施をめぐって現地ではアッサムの団体とインド人民党の間の乖離が顕著となっている。この点について留意しつつ、影響の大きなムスリム地域の状況を把握し、軌道修正を試みることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
文献調査は予定通りに実施することができた。次年度に予定していた課題3の予備調査も進めることができ、当初の予定よりも順調に調査が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は課題3について現地調査を実施する予定であったが、新型コロナウィルスの影響により現地に赴くことが難しい可能性も生じる。その際には現地の調査協力者に詳細な報告書の作成を依頼するなど、柔軟に研究方法を変更しながら現地の状況を把握し、次年度に再開する際にスムーズに開始できるような措置を取りたい。
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