2020 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化とインドの排外主義:インド北東部におけるムスリム排斥を事例に
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18K02008
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Research Institution | Tsuda University |
Principal Investigator |
木村 真希子 津田塾大学, 学芸学部, 教授 (90468835)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 南アジア / インド / アッサム / 排外主義 / ムスリム / 移民 / 排斥 / 社会運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はコロナ禍のため、予定していた課題3「アッサム州のムスリムの市民的活動と国際的なネットワーク」の現地調査が困難となった。そのため、①現地にいる調査協力団体と数回のオンラインミーティングの機会を設け、現状の把握を試みる、②すでに入手していた資料の読み込みと検討という2つの代替措置で研究を進めた。コロナ禍により、アッサム州でも進行中であった全国市民登録簿完成後の名簿から排除された人々に対する法的措置が止まっており、こうした状況が現地のムスリム排斥に関してどの程度影響を及ぼしているのか、今後経過を見守る必要がある。 また、課題3のほか、歴史的な資料を読み込み、アッサムにおけるムスリム排斥は1960年代に重要な転換点があったのではないかという知見を得た。この点については資料収集中であり、最終年度である次年度に検討予定である。アッサム州における現在の「外国人」取締りのための制度は1960年代に始まっており、この当時の暴動や印中国境紛争、東パキスタンからの難民流入と不法移民取締り政策をもう一度見直し、現在までの流れとして位置付ける予定である。 以上、コロナ禍により大幅な研究計画の見直しをせざるを得なくなったが、現地とは現地協力団体を通じてなるべく最新の情報を入手し、状況の把握に努めると同時に、歴史的な史資料等で補える部分を補い、最終年度には何らかの成果を出す予定である。 また、2021年2月には2020年度FINDAS第8回研究会「社会運動とその情動的契機」において、「アッサムにおける市民権法改正への反対運動」をテーマに研究報告を実施し、貴重なフィードバックを得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査は実施できなかったが、昨年度に現地の協力団体と連絡済みであったため、オンラインでのミーティングを通じて現地の状況をアップデートすることができた。また、先行研究の指摘から、1960年代の転換点という新たな視点を得て、歴史的の掘り下げつつ現在までの変遷を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
現地協力団体と連携し、現地で外国人と宣告され、拘留された人々やNRCから排除された人々のライフヒストリーを録画してもらうことにより、NRCの影響に関する現地調査を進める予定である。また、状況が許せば今年度中に一度は現地調査を試み、現地でのコロナ禍の影響を踏まえてNRCの影響を分析したい。 また、歴史的な資料の収集も継続し、資料の読み込みと整理、分析を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ禍の影響でインドで現地調査が実施できず、旅費が支出できなかったため。
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