2019 Fiscal Year Research-status Report
東京臨海部を対象とする現代大都市の空間的・時間的構造の社会学的研究
Project/Area Number |
18K02014
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
若林 幹夫 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (40230916)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 大介 日本女子大学, 人間社会学部, 准教授 (10609069)
南後 由和 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任准教授 (10529712)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 東京 / 臨海部 / 湾岸 / 再開発 / ジェントリフィケーション / 流通 / 都市のイメージ / ビッグネス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は東京臨海部を対象に、現代都市の社会構造を空間的および時間的な構造という点から実証的に解明するとともに、都市の社会学の新たな理論と方法の構築を目指すことを目的に、①東京大都市圏における臨海部の社会的地層・地形・イメージの重層性、②交通・流通のインフラ空間としての東京臨海部の構造、③巨大スケールの空間と施設の社会的意味、という3つを主要な焦点として調査・研究を行なっている。 前年度に引き続き2019年度も、お台場、豊洲、有明、青海、豊洲という臨海副都心地区と、隣接する晴海、大井、品川を対象として、これらの地区の形成の歴史的プロセスと現状、東京オリンピック・パラリンピックに向けて現在進行中の計画などについての資料収集と実地調査を行なった。また、研究分担者の南後の在外研究からの帰国を受けて、ニューヨーク・マンハッタンの臨海部再開発との比較検討も行なった。 上記①については、これらの地域の空間形成と都市の構造転換の中での変容を調査するための文献を引き続き収集するとともに、よりきめ細かな実地調査のための博物館や郷土資料館などの施設の調査を行なった。②についてはロジスティクスと流通の現代における展開と、かつて建設された物流倉庫のリノベーションによるビンテージ化や居住空間化など、都市の構造転換とジェントリフィケーションについての資料収集と実地調査を行なった。③については、芝浦やお台場などの都市再開発において、ニューヨークが模倣の対象のひとつとなったことに着目し、東京臨海部とニューヨーク沿岸部のイメージアビリティを比較した。具体的には、視点場のベクトルと複数性、後背地の有無、ウォーカビリティ、ケヴィン・リンチが『都市のイメージ』で示したパスやエッジのあり方の違いなどの観点から考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画①~③のそれぞれについて、前年度に引き続き資料の収集と分析を行ない、それらについて研究会を実施することで、それぞれの研究計画についての論点の深化や、相互のテーマの連関の検討を行なうことができ、それによって都市空間のヴィンテージ化とジェントリフィケーション、歴史や風景の「文化資源」化と消費などについての分析と考察を深めることができた。また、臨海副都心を中心とするフィールドワークの実施によって、2020年に開催予定だった東京オリンピックに向けた開発の現状を確認するとともに、それらが観光資源として提示される際の言説についても考察を進めることができた。年度末に実施を予定していたフィールドワークは、新型コロナウイルスによる感染症拡大の影響で実施することができなかったが、最終年度に向けておおむね順調に研究を進めることができたと評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度は新型コロナウイルスによる感染症の影響で、フィールドワーク、研究会ともに通常と同様に実施することが難しい状況だが、文献やインターネットを利用した資料収集を進めるとともに、Zoom等を利用することによって研究会を実施していく。最終年度の成果をまとめることにむけて、3つの焦点それぞれについて収集した資料の分析を進めるとともに、相互の研究成果を結んで新たな実証的および理論的な知見を見出すことを目標として、調査・分析を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
年度末に新型コロナウイルスによる感染症の拡大で資料・消耗品の購入やフィールドワークの実施ができなかったことによって使用できなかった分が次年度使用額となった。 今年度は資料・消耗品の購入、研究会やインタビューの実施、アルバイトの雇用などで予算を適切に使用する計画である。
|
Remarks |
(1)(2)は原広司の建築から現代都市の空間と建築を考えた若林による論考。(3)は現代都市についての南後と建築家貝島桃代の対談、(4)は南後による都市論評論、(5)は田中による現代都市についての評論である。
|
Research Products
(12 results)