2018 Fiscal Year Research-status Report
日本的雇用システム、特に「転勤」が家族形成や女性のキャリア形成等に与える影響
Project/Area Number |
18K02017
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
藤野 敦子 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (50387990)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 混合研究法 / 量的調査 / 質的調査 / パートナーシップ形成 / 家族形成 / 非正規雇用 / 少子化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は日本的雇用のうち特に転勤や単身赴任といった雇用慣行がパートナーシップの形成、家族の形成にどのような影響を与えるのか分析することである。そのような本研究全体の目的達成のために、本研究では、調査手法としてインタビューとアンケートの双方を実施し、質的データと量的データを分析する混合研究法を用いたいと考えている。平成30年度は、前年度に実施した調査データを用いて分析することや来年度以降に実施予定のインタビューの準備をすることが具体的な研究計画であった。そこで、平成30年度には、これまでの調査で得られたデータを用いて混合研究法による日仏の国際比較分析を実施し、論文を作成することで、混合研究法を実践的に習得することとした。論文は、日本的雇用のうち、雇用形態に焦点を当て、非正規の働き方がパートナーシップ形成や家族形成にどのような影響を与えているのか、日本とフランスで国際比較するものである。まずインタビューによる質的データを大谷尚氏によって開発されたSCAT法で分析し、仮説を生成した。次に仮説を検証するため、日本とフランスで実施されたアンケート調査による量的データを分析した。このような仮説生成・仮説検証という流れの中で、質的データ、量的データを用いた混合研究法を試みた。ここで習得したことを基に今後、転勤や単身赴任の影響がパートナーシップの形成や家族形成に与える影響を分析するための方法論として混合研究法を使っていく。平成30年度ではすでにあるデータを用いて混合研究法を実施したが、今後は、混合研究法を前提とした研究計画をたて、インタビューとアンケートを実施していく。平成30年度は、類似したテーマで論文作成をすることにより混合研究法という方法論を学ぶとともに、付随的に本研究の目的である日本的雇用の課題についても考察できたことが研究の実績と言うことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成31年度以降、インタビューとアンケートを実施していくが、そのための方法論として、混合研究法に関する類似の論文を作成することで今後の研究プランの方向性を学ぶことができた。また統計ソフトの購入や、質的データの分析手法を習得し、さらに今後必要なことも明確化された。この2つの理由から判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、日本において、転勤・単身赴任をしているカップルにインタビューをする。その後、インタビューの書き起こしをし、そこから得られたデータをNVIVOなどのソフトあるいは、SCAT法などを用いて、分析し、仮説生成を行う。
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Causes of Carryover |
今回の支払請求は、交付申請時、平成31年度の「その他」に計上していた論文作成等に必要な経費を、平成30年度の論文作成に必要な経費として前倒しするものであり、平成31年度以降に研究の中心となるインタビュー・アンケート調査に支障をきたすことはない。むしろ、早期に高度な統計ソフトを導入することで、今後収集されるデータにおいてもより精緻な結果を出すことができ、研究目的を達することが可能となる。変更後は、新たな統計ソフトを使った検定を加えた分析をし、それを論文に反映させる。 論文は学会誌に投稿する予定である。また来年度以降は、大きく当初の計画を崩すことなく、インタビュー調査やアンケート調査の準備をし、実施していく。またその結果を、今年度購入するソフトによってより精緻な解析を進め、学会報告や論文投稿などの成果発表を行う。
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