2021 Fiscal Year Research-status Report
日本的雇用システム、特に「転勤」が家族形成や女性のキャリア形成等に与える影響
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18K02017
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
藤野 敦子 京都産業大学, 現代社会学部, 教授 (50387990)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 転勤 / 単身赴任 / 出生意欲 / 反事実モデル / 操作変数法 / 少子化 / 夫婦関係 / インタビュー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度これまでの研究実施計画の中でも特に(1)これまで実施したアンケートを用いて、2つの量的分析を実施すること(2)質的調査として単身赴任者へのインタビューを実施し分析することに焦点を当て、実施する予定としていた。その実施状況については次の通りである (1)のうち1つ目の量的分析に関しては、関西社会学会で発表したのち、「夫の『単身赴任』の経験が夫婦関係に与える影響-一般化傾向スコアを用いた分析-」と題する論文(『日本ジェンダー研究』No.24、25-38、10月)にまとめることができた。2つ目の量的分析に関しては、統計ソフトSTATAのコマンド「Med4ways」を用いて反事実モデルに基づく媒介分析を実施した。その結果に基づき現在「ライフコース上で生じる夫の「転勤」が妻の出生意欲に与える影響:反事実モデルによる直接効果・間接効果の測定から」とする論文を執筆中である。さらに計画外であったが一歩進み、既婚カップルのみならず、未婚男女の転勤の出生意欲への影響についても、操作変数法を使用して分析することができ、「未婚正社員男女の転勤等のある働き方が出生意欲に及ぼす影響」として論文執筆を始めている。 (2)については、研究倫理審査を受け承認を得た後に、8~9月に簡易アンケート調査を実施の上、男女10人の被験者を選出し本人または配偶者の転勤(単身赴任)が家族関係や家族形成にどのような影響を与えているか1時間半、オンライン上でインタビューし、聞き取った。それらのトランスクリプトを作成し終わった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍において、質的調査として計画していたインタビュー調査を対面にするのか、オンラインにするのかなど判断を迫られるとともに、オンラインとして決定したものの、時期が遅れたことにより、十分な数のサンプルを得るのが難しかった。しかし、量的調査としてこれまで実施したアンケート調査のデータを用いた分析に関しては、予想以上に進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
インタビュー調査に関しては、今後サンプルサイズを増やすなどにより、調査の充実を図る。令和3年度に実施した分析は2つあり論文を執筆中である。一つは、「ライフコース上で生じる夫の「転勤」が妻の出生意欲に与える影響:反事実モデルによる直接効果・間接効果の測定から」とするもので、令和4年度5月に開催される関西社会学会、6月に開催される日本人口学会にて報告した後、論文にし専門誌に投稿する予定である。英文としての投稿も考える。もう一つは、「未婚正社員男女の転勤等のある働き方が出生意欲に及ぼす影響」であり、学会報告した後に寄稿依頼されている専門誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症等の影響によりインタビュー調査等が思うように進捗しなかったため、次年度使用額が生じている。そこで、今後、特に未婚男女を対象としたサンプルサイズを増やし、充実する予定であり、インタビューのリクルーティング、トランスクリプト作成のために使用する。質的調査の分析を進めるとともに、論文投稿などのために英文校閲の委託にも使用する。
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