2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Comparative Sociological Study of the interaction between culture, practices, and policy regarding Men's Parental Leave
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18K02019
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
中里 英樹 甲南大学, 文学部, 教授 (10309031)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 男性の育児休業 / 日本 / ドイツ / スウェーデン / 父親センター / インタビュー / 観察 / 質的データ分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本における父親による取得率の低さや期間の短さの背景と今後の変化の可能性を分析し、必要な方策を検討するという本研究の目的に照らして、その研究活動は、(1)日本における夫婦の子育て・家事・就労に関する分担状況とその交渉過程についての実態調査と、(2)制度・実践・文化に関する諸外国との比較に大きく分かれる。それぞれの活動について、本年度実施した内容は以下の通りである。 (1)に関しては、単独で育児休業を取得した父親5人と妻の育休と重なるタイミングで部分育休を取得した父親のインタビューを実施した。その上で本研究開始以前に実施していた単独取得男性のインタビュー結果と合わせて、そのような取得を可能にした要因、その生きられた経験、さらに、これらの経験が父親の仕事と家庭生活、さらには妻のキャリアに及ぼす影響を分析した。その際、取得時期の違いによる変化にも注目した。 (2)に関しては、ドイツにおいて、3人の父親の単独インタビューと11人の父親のグループインタビュー、2箇所の父親センターの運営者へのインタビュー、街中の親子連れについての観察調査を実施し、2019年度に実施したインタビューおよび観察と合わせて、ドイツにおける父親の育児休業制度の実際の活用のされ方と父親支援のあり方を分析した。 また、研究期間全体の成果を総合して、次のようなことを明らかにした。まず、ジェンダー平等を推進し男性が完全な子育ての担い手となることを促す北欧やドイツ制度と社会における支援体制の存在。またそれとの比較において、父親の単独育休取得が例外的な事例にとどまっている日本の状況と、見落とされがちな制度上の課題、および政策決定プロセスの課題、などである。 この成果は、書籍『男性育休の社会学』として2023年3月に刊行された。
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