2019 Fiscal Year Research-status Report
大正・昭和初期都市新中間層における理想的人間像の形成と変容
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18K02025
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 里欧 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (40566395)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 都市新中間層 / 佐々木邦 / 近代家族 / イメージ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「大正・昭和初期都市新中間層における理想的人間像の形成と変容」というテーマについて、社会学的分析を行うことを目的に研究を行っている。特に焦点をあてているのは、昭和初期を中心に家庭小説やユーモア小説の分野で活躍した小説家佐々木邦の作品と読者層の分析である。今年度は、資料収集と分析を中心に行い、日本近代文学館を中心に雑誌『ユーモアクラブ』等の資料収集を行った。日本近代文学館は、佐々木が中心的にかかわった雑誌『ユーモアクラブ』の多くが所蔵されており、特に戦時下の雑誌の内容の時系列的変化について調べた。また、明治学院大学に所蔵されている佐々木資料について予備調査を行い始めた(が、コロナ感染拡大のため、訪問ができないでいる)。特に、2020年1~3月にかけて、日本近代文学館、明治学院大学等に資料収集に赴く予定で、資料館の佐々木関係資料担当の方とも連携をとりつつ出張計画をたてていたが、コロナ感染拡大のため、出張そのものが難しくなった。そのため、インターネット上のデータベースなどを活用し、資料収集や所蔵資料の傾向の分析をすすめている。また、今年度、論文、学会発表については、論文(竹内里欧、2019、「成長なき時代の『成長物語』―NHK『連続テレビ小説』にみる―」『京都大学大学院教育学研究科 教育社会学講座 研究紀要 教育・社会・文化』第20号、1-17頁)、学会発表(稲垣恭子(研究代表)、竹内里欧、濱貴子、井上慧真、佐々木基裕、花田史彦、椎名健人「ポスト近代社会における『成長物語』――『連続テレビ小説』を手掛かりに――」日本教育社会学会第71回大会、於大正大学、2019年9月12日)を行った。これらは、近代日本を直接の対象としてはいないが、家庭をテーマにしたドラマにおける表象の変化やその意味を分析するという意味で本研究テーマと関係があり本研究テーマを考える上で有意義であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究について、今年度の進捗状況を報告する。2年目である本年は、日本近代文学館、明治学院大学等の資料収集・分析を中心に行う予定であった。2019年秋には、日本近代文学館を中心に雑誌『ユーモアクラブ』等の資料収集・分析(特に戦時下の雑誌の内容の時系列的変化をおう)を行った。また、明治学院大学等に所蔵されている佐々木資料について予備調査を行い始め、2020年1~3月に資料収集計画をたてていた。しかし、コロナ感染リスク軽減のため様子をみている内に、感染が拡大していき、出張そのものをあきらめざるをえなかった。現在は、コロナが収束した時に備え、インターネット上のデータベースなどを活用し予備調査を行っている。本年度執筆した論文、学会発表については、論文(竹内里欧、2019、「成長なき時代の『成長物語』―NHK『連続テレビ小説』にみる―」『京都大学大学院教育学研究科 教育社会学講座 研究紀要 教育・社会・文化』第20号、1-17頁)、学会発表(稲垣恭子(研究代表)、竹内里欧、濱貴子、井上慧真、佐々木基裕、花田史彦、椎名健人「ポスト近代社会における『成長物語』――『連続テレビ小説』を手掛かりに――」日本教育社会学会第71回大会、於大正大学、2019年9月12日)である。本年は、コロナ感染拡大のため、資料収集が十分に行えないという問題が発生した。この点については、コロナ収束まで、インターネット上のデータベース等を活用し、可能な範囲ではあるが、不足を補うことができるように努力していきたいと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画について述べる。本研究では、「大正・昭和初期都市新中間層における理想的人間像の形成と変容」というテーマについて、特に、小説家佐々木邦の作品を対象に分析を行っている。今年度は2年目であったが、特に2020年1月より、コロナ感染拡大のため、予定していた資料収集(日本近代文学館、国会図書館、明治学院大学等)が十分に行えなかった。2019年秋の資料収集(日本近代文学館)は可能であったが、2020年1~3月にかけて行う予定であった出張はほとんどキャンセルとなり、資料収集の計画を変更せざるをえなかった。そのため、3年目は、2年目に十分行えなかった資料収集を補う必要があるが、出張が難しい場合、インターネット上のデータベースなどを活用することを考えている。また、1年目・2年目に図書館の相互利用制度を用いて集めた資料なども適宜活用する。コロナが収束し出張が可能になった場合は、まず、佐々木邦関連の資料を豊富に所蔵する明治学院大学歴史資料館に赴き、関連資料の収集・分析につとめる。また、佐々木邦のかかわった雑誌等資料を所蔵する日本近代文学館に再度赴き、関連資料の収集・分析につとめる。また、研究会報告・学会発表(日本社会学会、日本教育社会学会等)の機会をもち、自身の研究について様々な研究者と意見を交換する。コロナが収束していた場合は、国際学会等に参加し、収束していない場合であっても、海外の研究者と連携をとるなどし、グローバルな文脈で本研究課題の意義を考える機会をもうけたい。最終年度にあたる3年目は、今までの分析をまとめ、最終成果報告書としてまとめることを予定している。
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Causes of Carryover |
本年度、資料収集にかんしては、日本近代文学館、明治学院大学歴史資料館などに出張し行う予定で計画をすすめていたが、コロナ感染拡大のため、出張計画を一部キャンセルせざるを得なかった。そのため、次年度使用額が生じた。次年度は、その分を、日本近代文学館、明治学院大学等への出張旅費(コロナが収束した場合)などに使用する予定である。
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Research Products
(2 results)