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2019 Fiscal Year Research-status Report

ハーバーマス『公共性の構造転換』の時間・歴史構造とその生成および現代的意義

Research Project

Project/Area Number 18K02041
Research InstitutionTokai University

Principal Investigator

飯島 祐介  東海大学, 文化社会学部, 准教授 (60548014)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywordsハーバーマス / シェリング / ハイデガー / マルクス主義
Outline of Annual Research Achievements

2019年度は、前年度に明らかにした『公共性の構造転換』の時間・歴史構造の生成過程に焦点を合わせて研究を進めた。すなわち、この時間・歴史構造は「唯物論への移行における弁証的観念論」(1963年)で再構成されたシェリングのそれを翻案・移植したものと考えられるが、かかる時間・歴史構造が、もうひとつのシェリング論--「絶対者と歴史――シェリング思想における内的矛盾について」(1954年)--からどのように生成・発展してきたかを明らかにすることを試みた。
この試みで、①「絶対者と歴史」はハイデガーの思想によって強く規定されていること、しかし同時に②マルクス主義の受容がその構成に影響を及ぼしはじめていることを確認した。そのうえで、③①のために同論文と「唯物論への移行における弁証的観念論」(1963年)ではシェリング論の構成に大きな相違が生じていること、したがって④「絶対者と歴史」にハーバーマス思想の原型を発見しそこから無媒介にその後の理論展開を再構成することは適切でないこと、この点で⑤Keulartz(1995)のハーバーマス論はシェリング論に注目した点では本研究課題にとっても最重要の先行研究ではあるが、同時に修正が必要であることをを明らかにした。
また、2019年度は、以上の成果を部分的に取り込みながら、前年度の研究成果を学術論文にまとめ、「J・ハーバーマス『公共性の構造転換』のシェリング主義的基礎―「進歩の消滅」のもとで実践的であることの可能性」(『社会学史研究』第41号)として公開した。

Keulartz, Jozef, 1995, Die verkehrte Welt des Jürgen Habermas, Hamburg, Junius.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

上記の「絶対者と歴史」(1954年)から「唯物論への移行における弁証的観念論」(1963年)にいたるハーバーマスの思想的展開の再構成は、当初から2019年度の主要な研究課題に予定していたものであり、研究は現在まで順調に進展していると判断する。

Strategy for Future Research Activity

2020年度は、これまでの研究のまとめとして、『公共性の構造転換』を構成する、時間・歴史構造の特色と現代的意義を明らかにすることを試みる。この試みによって、現代批判理論が直面している課題--ユートピアの再生―-に応答するための手掛かりを得ることを目指す。

Causes of Carryover

研究の進展によって、1950年代のハーバーマスの思想が当初想定していた内容とは異なることが判明し、2020年度にフランクフルト(ドイツ)での文献・資料収集をあらためて実施する必要があると判断した。その旅費として次年度に使用することとした。

  • Research Products

    (1 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] J・ハーバーマス『公共性の構造転換』のシェリング主義的基礎 : 「進歩の消滅」のもとで実践的であることの可能性2019

    • Author(s)
      飯島 祐介
    • Journal Title

      社会学史研究

      Volume: 41 Pages: 59-75

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2021-01-27  

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