2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K02049
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Research Institution | Tokoha University |
Principal Investigator |
山本 早苗 常葉大学, 社会環境学部, 准教授 (40441175)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 中国シルクロード域 / 環境史 / 農村開発 / 環境保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、国家プロジェクトの開発拠点として位置づけられ大きく変貌し続ける中国シルクロード域の開発環境史を明らかにすることである。具体的には、環境問題と貧困問題が最も深刻な甘粛省でのフィールド調査をもとに、史上最大規模の国家開発(西部大開発、一帯一路政策)と環境再生事業を通じた地域社会の再編過程を社会学的に解明する。これを明らかにすることを通じて、グローバル化を背景に大きく転換しつつある現代中国における地域社会のダイナミズムを捉えることが可能になる。中国の国家開発は、西アジアやEU諸国をも射程に収めた新たなシルクロード建設を目指しており、グローバル社会における新たな構造転換をもたらす可能性が高い。 本年度の研究課題は、農村開発が地域社会にいかに導入され、地域住民が、どのように開発プロジェクトを担い、国家開発と環境保全の矛盾にいかに対応しているのかを解明することである。 研究初年度にあたる本年度は、次年度以降のフィールド調査実施に向けて、データの整理と分析を中心に行った。これまでのフィールド調査で入手した統計データと行政文書の整理を行い、農村開発による地域社会の経年変化を明らかにするとともに、農村開発と環境保全の矛盾を生み出している構造的背景および地域社会の対応の差異を生み出す要因の分析を行なった。 また、本研究の調査対象地である甘粛省を含めた中国西部域における農村開発に関する国内外の学術雑誌・文献を幅広く収集し、キーワードごとに整理を行った。これまでになされてきた中国西部域における農村研究との比較研究を可能にするため、上述の統計データの整理・分析や文献調査を踏まえて、本研究で実施する予定のパネル調査の質問項目の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの調査で収集した統計データや文献調査の整理・分析が順調に進んでおり、本研究についてまとめた論文が学術雑誌に掲載され、本研究は、おおむね順調に進展していると考える。ただし、本年度の後半は、産休により研究を中断したため、当初予定していた予備調査については、研究再開後に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、育児休暇により研究を中断するため、再来年度より、当初計画に則って、研究を再開する予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者の健康上の理由(妊娠・出産)に伴って、当初予定していた中国でのフィールド調査を実施することができなかったため、旅費に充当していた予算が使用されず、次年度使用額が生じてしまった。
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Research Products
(1 results)