2021 Fiscal Year Annual Research Report
Regional differences in declining birth rate factors: Data-linkage between micro data from social surveys and macro data from official statistics
Project/Area Number |
18K02054
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
佐々木 尚之 大阪商業大学, 公共学部, 准教授 (30534953)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 少子化 / 家族形成 / ジェンダー / 教育期待 / 育児休業 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、新型コロナウイルスとの闘いが長期化する中で、ウィズコロナを意識した研究を進めて行く必要に迫られた。当初の計画からは大きく変更せざるを得なかったものの、既存資源を有効活用することにより、研究成果を残すことが可能になった。 本年度は、夫婦の出生力低下の要因について、第1子出生後の生活の変化に着目し、どのような文脈において夫婦が第2子出生を抑制するのかを分析した。とくに,子どもに対する教育期待およびジェンダー役割の効果が家庭の文脈により異なるかどうかに焦点をあてた。ここで第1子出生ではなく第2子出生に着目する意図は,追加の子どもをもつことによる経済的負担の上昇とひとりの子どもに集中投資することを天秤にかける過程を明確にすることにある。また,夫婦が第2子をもつかどうか意思決定する際に,第1子の育児経験は大きく作用するはずである。したがって育児中の状況をパネルデータによって逐次的に測定し,常に変化する状況や意識の影響を検証することは非常に意義があると考える。 分析の結果、夫の年収が少ない場合、教育期待の高さは、より強く第2子出生ハザードを押し下げていた。また、柔軟な性別役割分業意識をもつ女性にとって、妻が認識する夫の家事頻度が高いほど、そして第1子出生時に夫が育児休業を取得したことが第2子出生ハザードを上げていた。ただし、それらは性別役割分業を夫婦間で平等にするほど出生率を高めてはおらず、家族領域におけるジェンダー構造化は根深いことを示唆してる。
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