2019 Fiscal Year Research-status Report
ライフストーリーを繙く:文学批評理論を援用した解釈学的アプローチの可能性
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18K02055
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
横田 恵子 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (50316022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 富秋 松山大学, 人文学部, 教授 (30166722)
大北 全俊 東北大学, 医学系研究科, 講師 (70437325)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 血友病・HIV治療 / 医師の語り / 医療における女性の周辺化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究が目的とする、「社会学的な語りの記述と解釈の批判的再検討」を進めるに際し、今年度は2つのアプローチを並行して進めた。 第一のアプローチは、当初の計画に基づく「血友病(HIV)治療医師の語り」のテキストの重層的な読みの実践である。今年度は、ポストHIV世代の血友病児を生み育てる母親たち、汚染血液製剤の問題の渦中にあった当時の血友病患者の配偶者の女性たちなど、「様々な立場から血友病・HIV治療に巻き込まれるが、治療では常に周辺化されてきた『女性たち』」による読み会を実施した。2019年度は2回の予備的会合を実施した。(さらに本格的に取り組む予定を具体化した直後に新型コロナウイルス禍に直面することになり、一時中断を余儀なくされている。) 第二のアプローチは、研究チームのより一層の学際化・多様化である。当初から「読みの批判的検討に文学批評の視点を加える」計画のため、近代文学研究者を連携研究者に加えていたが、2年目には議論・発想をより豊かにするために、科学社会学、科学表象、文学社会学の研究者を毎回ゲストとして招きながら研究会を重ねている。こちらも、2020年当初からはオンライン研究会という形でしか開催することができず、今後の予定が具体化できていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最大の原因は、やはりこのたびの新型コロナウイルス感染症による移動・集合の制限によるものが大きい。昨年12月以降すでに半年、予定していた研究会や分析のための読書会などの見通しが全く立たないままとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
女性たちによる読書会(「医師の語り」の分析)は、研究全体の中でも中心的なトピックになるものであり、社会状況が許せば、今年度、集中的に取り組みたい計画である。 それらの活動を受けて学術的な枠組みの発掘や分析を行う研究チームは、前年度に引き続き、7学問的多様性を保ったまま議論を続けていきたい。
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Causes of Carryover |
会計年度終盤に、新型コロナウイルス感染症予防のため、移動と集合の制限がかかり、研究集会やテキスト分析の読書会などが開催できない事態となった。そのため、予定していた謝金や交通費、会場費が次年度に繰り越されている。
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