2019 Fiscal Year Research-status Report
原発被災市町村復興の担い手となる壮年期男性への生活と健康に関する支援方法の構築
Project/Area Number |
18K02058
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岩佐 有華 (秦有華) 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90609132)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 智子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (00300096)
富山 智香子 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80359702)
西方 真弓 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90405051)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 原発災害 / 壮年期男性 / 避難生活 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、東日本大震災に関連した福島第一原子力発電所事故により長期の避難生活を送る復興過渡期にある壮年期男性の思いを明らかにするため、原発災害により長期の仮設住宅での避難後、復興住宅に転居し引き続き避難生活を送る壮年期男性10名を対象に半構造化面接を行い、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチの手法を用いて分析を行った。 その結果、20個の概念が生成され6個のカテゴリが抽出され、以下のことが明らかになった。 原発災害により長期の避難生活を送る壮年期男性は、6年間にもわたる仮設住宅での避難生活において【先の見通しが不確かな中での相反する思い】といった相反した思いを抱いて生活していた後、復興住宅へ転居したことにより【新たな生活で感じる安寧と寂寥といったアンビバレントな感情】といった仮設住宅とは異なる復興住宅での暮らしのメリットとデメリットを実感していた。さらに、復興住宅への転居に加えて避難指示が解除されたことにより、【復興へと歩み出したことでの戸惑い】といったアンビバレントな思いをいだき生活していた。その背景には【慣れし故郷と思い入れのある我が家への逡巡する思い】といった複雑な気持ちの揺らぎがあった。また、対象者は【働く気概を失ったことへの遣る瀬なさ】を感じながらも自らの努力で【新たな役割や仲間から得られる充実感】を持ちながら生活していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に沿って調査を実施した。被災し今も避難生活を送る壮年期男性の「思い」について明らかにすることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
復興住宅に移住し4年目となることから、復興住宅での避難生活の長期化に伴って対象者の睡眠とストレスにどのような変化がみられるのか、またそれらに影響を及ぼす要因を明らかにするために、引き続き睡眠とストレスに関するデータ収集を行っていく。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は唾液ストレスバイオマーカーによるデータ収集を行わなかったためである。対象者自身に唾液を取得してもらうことによる負荷、費用と結果の妥当性を鑑み、研究分担者と協議の結果、唾液によるストレス測定は今年度は行わないこととした。 次年度の使用計画は、旅費(研究成果発表、データ収集のための現地訪問)、人件費(謝金、翻訳費)、その他(免疫学的ストレス評価の唾液試料中成分分析測 定受託費、脳波解析受託費、研究成果発表、通信費)に使用する予定である。
|