2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on independence support for foster children leaving care
Project/Area Number |
18K02077
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Research Institution | Higashi Nippon International University |
Principal Investigator |
中山 哲志 東日本国際大学, 健康福祉学部, 教授 (80327262)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深谷 和子 東京学芸大学, 教育学部, 名誉教授 (00015447)
深谷 昌志 東京成徳大学, その他部局等, 名誉教授 (00031542)
石田 祥代 千葉大学, 教育学部, 教授 (30337852)
金城 悟 東京家政大学, 家政学部, 教授 (70225118)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 里子の自立支援 / 養育里親 / 人間関係作りが不器用 / 共感性 |
Outline of Annual Research Achievements |
「社会的養護(里親家庭)から社会に巣立つ若者の自立支援に関する実証的研究」をテーマとして3年間(2018-2020)にわたり進めた研究は、新型コロナウイルス感染症の影響により最終年度に計画していた里親に対する面接調査は実施できなかった。しかし、2度(2018:関東甲信越地区,2020:全国4か所)にわたり実施できた養育里親に対するアンケート調査の結果をもとにして、最終年度は里親家庭から社会に巣立つ若者(もと里子)の自立に向けどのような支援が必要であるのかを検討し、最終報告書にまとめることができた。 調査結果から養育里親が経験的に捉えている実感やそれに関係する課題を整理すると、①18歳以降も何らかの関りを続けたいと考える里親は約4割いる。②①の傾向は、養育しやすい里子ほど高い。③養育困難を抱えがちな里子は人間関係を作ることが不器用である。④その背景に虐待や厳しい生活環境下に置かれた経験、発達障害等があると推測される。⑤④の場合の里子でも、里親は、愛情深く里親子関係の構築に粘り強く努めるが「共感性の獲得」に課題を抱える里子ほど養育に困難を感じ、里子の自立や将来に対して強い懸念を抱いていた。 経験的に感じている里親の意識にある「共感性の獲得」に関する課題の背景には「愛着(attachment)形成」や「安定した性格形成」の難しさがあり、育児放棄等の虐待や厳しい生活状況が影響していることが推測された。里子の心が安定し、安寧なウェルビーイング(well-being)な状態にある場合は、里親関係も比較的よく自立においてもあまり心配がないが、孤立感や心理的疎外感を感じる里子には、他者との共感性を育むことへの困難が示され、それらが自立を妨げる要因になっていることが明らかになった。また、社会的養育を推進する養育里親の養育の質を高めることが、里子の自立支援に深く関わることも示唆された。
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