2019 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアシステム構築における介護保険制度改革のもとでの介護者支援に関する研究
Project/Area Number |
18K02079
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
菊池 いづみ 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (00533217)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 介護者支援事業 / 介護保険制度 / 地域包括ケアシステム / 地域支援事業 / 市町村 / 地域包括支援センター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2025年を目途とする地域包括ケアシステム構築に向けた介護保険制度改革が進行するなかで、保険者としての機能強化の進む市町村において、介護者支援はどうあるべきかを全国規模の統計調査ならびに事例調査をもとに究明することを目的とする。 事業期間2年目にあたり、初年度に実施した全国の市町村を対象とする質問紙調査「介護者支援事業に関する自治体アンケート調査――地域包括ケアシステム構築に向けて」によって収集したデータをもとに、分析を進めた。 その結果、地域支援事業の拡充された2015年度以降、市町村における介護者支援事業は多様な展開をしており、特定の事業の実施の有無は、高齢者福祉施策のなかでの介護者支援策の優先順位の高さとの関連が認められた。また、個別の事業では、近年、地域包括ケアシステム構築において必須となった在宅医療・介護連携の重要な目的ともいえる看取りに関する支援事業について、市町村における萌芽的な取り組みの状況を把握した。これらの知見について、2019年度中に、それぞれ関連する2つの学会で発表した。 また、研究計画に基づき、介護者支援事業に先進的もしくは積極的な取り組みをしている市町村を全国調査の結果より抽出し、そのなかから協力の得られた4自治体の8名に対してインタビューによる事例調査を実施した。具体的には、各自治体の介護者支援事業の担当職員と、在宅介護者の相談窓口である地域包括支援センターのセンター長を対象に、介護者支援の実情や事業を推進するうえでの困難や課題等についてたずねた。以上のとおり、地域包括ケアシステム構築に向けた介護者支援の推進のあり方の示唆を得ることを目的として、インタビュー調査を遂行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全国の市町村を対象とする質問紙調査の分析結果より、事例調査の対象として、介護者支援事業に先進的あるいは積極的な取り組みをしている自治体を選出したが、インタビュー調査の日程調整が遅れがちになったところにパンデミックの影響も加わり、年度内に予定していた調査をすべてこなすことができなかった。また、介護保険を導入している国として、韓国の現地調査を予定していたが、年度内の実施を見送ることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
事例調査にあたり、年度内のインタビュー調査を見送った市町村については、今後、調査環境が整い次第、2020年度に繰り越して実施する。引き続き、国内外の現地調査が難しい場合には、別の方法も検討する。
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Causes of Carryover |
事例調査ならびに国外の現地調査を予定通り遂行することに困難が生じたため、2019年度中に関連する経費の支出がなかった。見送った調査については、可能な限り次年度に繰り越して実施し、当初、最終年度に予定していた調査とともに全体をとりまとめる計画である。
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