2020 Fiscal Year Research-status Report
地域包括ケアシステム構築における介護保険制度改革のもとでの介護者支援に関する研究
Project/Area Number |
18K02079
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
菊池 いづみ 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (00533217)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 介護者支援事業 / 介護保険制度 / 地域包括ケアシステム / 地域支援事業 / 家族介護支援事業 / 市町村 / 地域包括支援センター |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、市町村における介護者に対する支援事業の実施状況、ならびに支援策の課題等を明らかにするために、初年度にあたる2018年10月から12月にかけて、全国の市町村(1,741団体)を対象とする質問紙調査「介護者支援事業に関する自治体アンケート調査―地域包括ケアシステム構築に向けて」を実施した。 2020年度においては2019年度に引き続き、この調査結果をもとに介護者支援事業に先進的もしくは積極的な取り組みをしている市町村を選出し、協力の得られた4自治体に対して聞き取り調査を実施した。その際、調査方法は、コロナ禍での感染拡大防止の観点から、2020年度においては訪問によるインタビューを電話による調査に変更した。 調査対象者は、2019年度と同様の基準により、全国的に実施率の低い事業に数多く取り組んでいる市町村を選出することにした。そのうち、協力の得られた4自治体の担当職員、ならびに管内の基幹的役割を担っている地域包括支援センターのセンター長(もしくは、代表する者)各4名、合計8名を対象とした。 実施率の最も低かった「認知症高齢者に関する知識のあるボランティア等による見守りのための訪問」や「介護者のヘルスチェック、健康相談」をはじめ、全国で実施している市町村が半数に満たない事業に焦点をあて、各事業を推進するうえでの困難や課題などを中心に情報収集した。 また、地域包括ケアシステム構築を加速することを目的に、地域包括ケア計画として位置づけられている第8期市町村介護保険事業計画(2021年度~2023年度)策定にあたり、市町村が直面している介護者支援事業の課題について、質問紙調査の結果をもとに分析、検討した。市町村が介護者支援事業を推進するうえで、地域包括支援センターの機能強化や地域支援事業をはじめとする事業間の連携に配慮した取り組み等が重要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
介護保険を導入している国として、日本との国際比較の観点から、ドイツと韓国の家族介護支援にかかわる現地調査を実施する予定であったが、パンデミックの影響により見送ることとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
国外の現地調査(ドイツと韓国)にかえて、オンラインによる現地の情報収集などの方法を模索する。もしくは、これまでに収集した量的・質的データの分析結果に基づき、日本国内における介護者支援の取り組みに関する追加調査なども検討する。あるいは、新しい生活様式での介護者支援事業に関する調査の可能性など、コロナ禍の社会情勢をみながら、適宜検討し、推進する方針である。
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Causes of Carryover |
当初計画では、市町村の担当職員、ならびに、管内の地域包括支援センターのセンター長を対象とするインタビュー調査を訪問によって実施する予定であったが、コロナ禍での感染拡大防止の観点から、すべて電話による調査に変更したため、関連する旅費等の支出がなかった。また、パンデミックの影響により、国外の現地調査が実施できなかったため、関連する経費の支出がなかった。 上記の理由により生じた未使用分については、今後の研究の推進方策のとおり、これまでに収集した量的・質的データの分析結果や社会情勢をみながら、適宜、文献調査、オンライン調査、国内における追加調査などを検討し、研究を遂行するうえで使用する計画である。
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