2019 Fiscal Year Research-status Report
矯正におけるソーシャルワークの役割と体系化~ドイツ、スイスでの取り組みを参考に~
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18K02081
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
鷲野 明美 日本福祉大学, 福祉経営学部, 准教授 (50711587)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 矯正 / 刑務所 / ソーシャルワーク / 日本 / ドイツ / スイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、平成30年度に引き続き、我が国のソーシャルワークの新たな実践領域である矯正におけるソーシャルワーク、なかでも特に刑務所におけるソーシャルワークに焦点を当て、ドイツとスイスの刑務所でのソーシャルワーク実践を参考にしながら、それらを体系化することを目的としている。 令和元年度の研究内容は以下のとおりである。 まず、日本、ドイツ、スイスに関して、文献、論文、ホームページを活用した調査を実施した。 さらに、ドイツに関する研究として、高齢者の特性に合わせた処遇を行っているバーデンビュルテンベルク州コンスタンツ刑務所ジンゲン支所およびザクセン州ヴァルドハイム刑務所を訪問し、所長およびソーシャルワーカーに、そこでのソーシャルワーカーの役割と業務に関する聞き取り調査を行った(令和元年5月)。そこからは、刑務所のソーシャルワーカーが、ソーシャルワークの実践レベルとして示されているミクロレベル(個人、家族)、メゾレベル(グループ、組織、地域住民)、マクロレベル(地域社会、制度政策)の多様なソーシャルワーク実践を行っていることを確認することができた。 また、あわせて、地域の支援機関であるヘッセン州シュバルム・エーダー介護支援センター、同州シュバルム・エーダー世話協会を訪問し、受刑者の社会復帰に向けた支援に関する聞き取り調査を実施した(令和元年5月)。そこからは、地域の支援機関において、罪を犯した高齢者や障害者に対しても、刑務所のソーシャルワーカーと連携した支援が円滑に行われていることを確認することができた。 これらのことは、今後日本の矯正におけるソーシャルワークをミクロレベル(個人、家族)、メゾレベル(グループ、組織、地域住民)、マクロレベル(地域社会、制度政策)の視点から体系化するにあたり、大変参考になる内容であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和元年度中に、日本とスイスの刑務所での現地調査を実施することとしていた。しかし、スイスの刑務所との日程が合わなかったことから、そこでの現地調査を実施することができず、それに伴い、日本の刑務所における調査の準備が整わなかったため、これらを実施することができなかった。 しかし、これらに関しては令和2年度に実施することで研究目的は達成できるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度には、令和元年度に実施することを予定していた日本とスイスの刑務所における現地調査を行い、日本の刑務所におけるソーシャルワークの体系化を行う。
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Causes of Carryover |
日本とスイスにおける現地調査を令和2年度に行うこととしたため、調査旅費(交通費、宿泊費)に加え、通訳・コーディネートにかかる謝金等が必要である。
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