2020 Fiscal Year Research-status Report
矯正におけるソーシャルワークの役割と体系化~ドイツ、スイスでの取り組みを参考に~
Project/Area Number |
18K02081
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
鷲野 明美 日本福祉大学, 福祉経営学部, 准教授 (50711587)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 矯正 / 刑務所 / 行刑施設 / ソーシャルワーク / 日本 / ドイツ / スイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、令和元年度に引き続き、我が国のソーシャルワークの新たな実践領域である矯正におけるソーシャルワーク、なかでも特に刑務所におけるソーシャルワークに焦点を当て、ドイツとスイスの行政施設でのソーシャルワーク実践を参考にしながら、それらを体系化することを目的としている。 令和2年度の研究内容は以下のとおりである。 日本、ドイツ、スイスに関して、文献、論文、ホームページを活用した調査を実施した。 また、当初5月に予定していたスイスの行刑施設での現地調査が、新型コロナウィルス感染拡大により実現せず、再度2月に実施するよう試みたが、行うことができなかった。同様に、日本の刑務所への訪問も実施できなかった。 このようななか、スイスのチューリッヒ州にある拘置所のソーシャルワーカーに、そこでのソーシャルワーカーの役割や業務内容を提供可能な範囲でまとめ、資料として提供してもらうことができた。 チューリッヒ州では州の行刑命令の改正に伴い、2011年末までは保護観察および行刑部門により行われていた拘置所と行刑施設における社会福祉的な相談を、2012年からは各施設の社会福祉部門において行うよう変更され、いずれの施設にもソーシャルワーカーが配置されるようになった。この拘置所のソーシャルワーカーは、ソーシャルワーク専門職のグローバル定義を基盤に、クライエントに対する個別の相談を行ったり、エンパワメント、現物支給による支援、拘留による社会的および経済的な影響をできるだけ軽減し、個人の能力の活用を重視した支援を行っている。主に、クライエントが抱える経済的な問題や、就労、住居、家族関係、その他社会復帰に必要な様々な課題に対して、内部の関係部署に加え、入国管理局、社会福祉機関、税務署、債務執行事務所、困窮者や難民を対象とした支援機関、行刑施設退所者を支援する団体等と連携しながら対応していることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度中に、日本の刑務所とスイスの行刑施設での現地調査を実施することとしていた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、これら現地調査を実施することができなかった。 これらを、令和3年度に実施することにより研究目的の達成に尽力する。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度には、令和2年度に実施することを予定していた日本の刑務所とスイスの行刑施設、これに加え、ドイツでの現地調査を行い、刑務所におけるソーシャルワークの体系化を行う。なお、各国の施設への訪問が実現しないことも想定し、ドイツおよびスイスに関しては、各州の司法省に対する関連資料の提供依頼を並行して行う。
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Causes of Carryover |
日本、ドイツ、スイスにおける現地調査を令和3年度に行うこととしたため、調査旅費(交通費、宿泊費)に加え、通訳・コーディネートにかかる謝金等が必要である。
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