2022 Fiscal Year Annual Research Report
Structure of Succession Process of Social Work Practice in a Community of Practice: Focusing on Phenomena in Middle Voice
Project/Area Number |
18K02082
|
Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
福田 俊子 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学部, 教授 (20257059)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ソーシャルワーカー / 中動態 / 実践共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
ソーシャルワーカー(以下、ワーカー)の自己生成の「節目」となる臨床体験は、その事象に「巻き込まれ続けている」という「中動態」で生起し、それは「実践共同体」によって支えられていることから、本研究では、「実践共同体」の内部で生起する事象をさらに詳細に分析するとともに、組織としてどのように上司から部下へと社会福祉実践が継承されていくのか、その過程を明らかにすることを目的としている。 当初は20名程度のワーカーを対象としたインタビュー調査を実施する予定であったが、コロナウィルス感染症の影響を受けたため、調査規模を縮小し、特定の社会福祉法人に勤務するワーカー4名を対象とした。その経験年数は20年程度から40年以上であり、全員が中堅からベテランの段階に属する管理職である。 ナラティブテキストの分析は、ナラティヴアプローチ及び現象学の知見や視座を活用した事例研究法を用いた。テキストに現れる微妙な語り口に注目しながら、時間や空間の観点より、臨床体験を成り立たせている事象間の関連や所属組織内外の「実践共同体」の構造を詳細に分析した結果、以下のことが明らかとなった。 1つは、実践共同体の基盤が「利用者主体」という価値の伝承プロセスによってつくられている点である。2つは、その伝承が「上司・部下」の上下関係ではなく、上司が部下に対して「聴く姿勢」を貫くことで構築される対等な関係性のもとでなされている点である。3つは、その対等な関係性は部下の主体性を涵養すると共に、上司が組織内外の活動に部下を巻き込むことで、部下は「ワーカー」として、そして「人として」のモデルと出会うことにつながっていることから、実践共同体は「個人的自己」と「専門職業的自己」の往還を可能にするような自由度の高い時間と空間を有していることが明らかとなった。 以上の研究成果については、令和5年度の本学研究紀要に投稿する予定である。
|