2020 Fiscal Year Research-status Report
台湾における長期介護サービス法施行に伴う外国人介護労働者の動向に関する調査研究
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18K02087
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
宮本 義信 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (00182056)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 外国人介護労働者 / 長期介護サービス法 / 長期介護保険法 / 台湾の社会福祉 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、台湾における長期介護サービス法の施行(2017年)および第2次長期介護10年計画の策定・実施に伴い変化する外国人介護労働者の動向を追跡するとともに、介護供給システム全体の中での外国人介護労働者の可能性とその人材の確保・育成に向けた課題を明らかにすることである。具体的には、公私の各種高齢者施設が政府(労働部〔労働省〕および衛生福利部〔保健福祉省〕)から受託した「外国人介護職者によるアウトリーチ〔訪問〕型介護サービスの試行的実施計画」をフィールドとして、そこで業務評価分析を行うことによって、外国人介護労働者の実態把握を試みることとした。2020年の長期介護保険の制度化にあわせて、外国人介護労働者の今後の動向が決まっていく。このため、本研究では、本制度化に伴う外国人介護労働者の訪問介護への質的移行の過程を追跡する。 従来の研究では、外国人住込み介護ヘルパーを中心に、家族の代替労働力として必要な人的資源(マンパワー)を確保するという観点から、外国人介護労働者の労働条件・労働環境に関する諸問題が俎上に載せられ議論された。その一方で、利用者・家族に対するサービスの品質保証を中心に介護供給システム(提供体制)全体の中で外国人介護労働者の役割・機能を議論する、という観点が欠如していた。本研究では、この観点から、外国人介護労働者の実態把握と課題の整理を試みる。 本年度は、長期介護保険法や訪問介護の進捗状況に関する資料を集め、状況の把握と課題の整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、業務評価分析に係る現地調査を本格的に実施する予定であったが、コロナ禍の下、渡台が極めて困難となる状況に直面し、現地調査を延期せざるを得ない事態となった。本研究は、現地踏査によるデータの収集を中心に進めることから、全体の研究計画の進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度において、本年度に実施を予定した施設・機関を中心に、外国人介護職者によるアウトリーチ(訪問)型介護サービスの各種業務が個々の職員および組織として根拠規定に基づき実施されているかどうかについて、サービスの質保証の観点から独自に業務評価分析項目を作成して検証する作業を行う。コロナ感染状況の終息をみながら、実施予定の施設・機関に対して継続的に受入れ要請を出していくが、応諾の如何により、他機関への打診も行う。 あわせて、外国人介護人材の確保をめぐる日本と台湾の競合関係、日本の外国人介護労働者の就労・生活実態、結婚移民との連続性など、日台比較の視点から、国内外の文献資料を収集し、現状の把握と課題の整理に努めたい。
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Causes of Carryover |
本年度は業務評価分析に係る現地調査を中心に行う予定であったが、コロナ禍の下、労働部や衛生福利部等の政府機関や自治体等の渡台・受入れをめぐる制限が早期から極めて厳しく、それが困難となった。進捗の遅れを取り戻すべく、次年度を中心に台湾の各種高齢者施設で現地調査を実施するとともに、国内の関係機関等においても資料収集に努め、研究成果の発表および書籍の発刊に繋げたい。
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