2020 Fiscal Year Research-status Report
ネット依存症の課題に対応した家族教室のプログラム作成
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18K02096
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Research Institution | Shigakukan University |
Principal Investigator |
松本 宏明 志學館大学, 人間関係学部, 准教授 (90625518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 洋一 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 教授 (20369185)
石井 宏祐 佐賀大学, 教育学部, 准教授 (30441950)
増田 彰則 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (10347099)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アディクション / サポートグループ / ゲーム / インターネット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ネット・ゲーム依存に対する家族を通じた間接的支援の観点から、心療内科クリニックで既に実施中のネット・ゲーム依存家族会のプログラムの効果研究を柱に、援助者が活用しうるプログラム作成を行うことにある。具体的には、家族会の現状の検討、および家族へのアンケート調査を手掛かりに、ペアレント・トレーニング等を活用した依存症者家族のプログラムを導入し、①ネット依存の状態像に対応②少人数スタッフでも、実行可能③1回の参加でも、家族が参加して良かったと思える、この3点を満たすプログラムの作成を目的とする。 本年度は、家族や当事者、スタッフ間の重なり合いというプログラムの指針となる基礎理論研究と、具体的な実践方法論の方向性の提示を行った。 松本(2021)で提示した情報的構成主義では、社会情報学を援用した、援助者と当事者とが入れ子的に重なり合う関係性としての専門性を提示した。この入れ子的な関係性とは、家族会の実践指針であると同時に、ゲームと現実との関係性を記述する認識論でもある。 この認識論に沿った実践方向性が、変化志向の悪循環(石井, 2020)に配慮したブリーフペアレントトレーニング(松本, 2020)という方向性である。ブリーフペアレントトレーニングとは、通常は数回で行われるペアレントトレーニングを、家族にとって負担が少ないように1回の参加でも使えるように部分的に再構成したものである。6年目に入るネット依存の家族会だが、ブリーフペアレントトレーニングを一つの柱に、参加者が1回でも参加して良かったと思えるようなプログラムの全体像が見えてきたところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「やや遅れている」、に区分した理由は以下のとおりである。 研究の一部である、研究分担者(クリニック医師)によるゲーム依存の実態調査は、基本的には調査データの蓄積をもとに、順調に経過している。また、家族会は新型コロナウィルスの影響で数回休会したものの、その後は、ブリーフペアレントトレーニング等を活用して方向性が定まり、開催状況についても、おおむね順調に推移している。 一方、計画してきたゲーム依存家族会の実態調査については、部分的に方向性の見直しを図っている。その理由として、昨年度1年間において、全国的なゲーム依存等の家族会の展開状況が変化し、実施機関がかなり増えている情況がある。このことから、家族会の実態調査について、現在調査方法を再検討している。また、家族会参加者へのインタビュー調査、あるいはオンライン調査等も検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
ブリーフペアレントトレーニングを柱とするプログラム実施の中で、改めて見えてきたのは、参加者のなかで果たすインフォーマルがつながりが、参加者をエンパワーメントする重要な機能を果たしている点であった。この知見を踏まえ、プログラム自体に果たすインフォーマルなつながりの機能について、他の自助グループやサポートグループの状況を踏まえた調査を行うことで、より有用なプログラムとなることが考えられる。 また、プログラム作成においては、心理教育としてのネット・ゲームの現状の理解や、家庭でのルール設定を取り上げることが重要と考えられた。これらのトピックを家族会でどう取り上げるかも検討課題とすることで、今年度のプログラムの作成につなげていきたい。
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Causes of Carryover |
今年度は、新型コロナウィルスの影響で、学会発表や調査研究が軒並み中止となった。そのために予定額の執行ができず、次年度使用額が生じた。次年度の使用計画として、オンラインでの調査等も取りいれることで研究目的を達成しうるものとしたい。
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Research Products
(5 results)