2018 Fiscal Year Research-status Report
Accessibility to social resources of the persons with disabilities in disaster settings
Project/Area Number |
18K02102
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
堤 敦朗 金沢大学, 国際機構, 准教授 (20536726)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井筒 節 東京大学, 教養学部, 特任准教授 (00392449)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 障害者の権利 / アクセシビリティ / 災害 / 国際保健 / 死亡率 |
Outline of Annual Research Achievements |
国連の仙台防災枠組や持続可能な開発目標といった世界的な優先共通課題において障害者の権利は重要な要素であり、災害時における障害者の権利に関する学術的貢献が一層求められている。本研究では、(1)災害時における障害者の情報、医療、社会的支援サービスへのアクセシビリティに関する研究や報告を網羅的かつ学術的にレビューすること、(2)災害時の障害者の精緻な死亡率データを算出すること、(3)災害経験時における情報、医療、社会的支援サービスへのアクセシビリティの制限について、障害者である当事者を対象に分析することを目的としている。当該年度においては、(1)については、国連図書館や国連文書のデータベースであるUnited Nations Official Document System(ODS)等や、PUBMEDやMEDLINEなどのデータベースを利用し、障害者における情報、医療などの社会的支援アクセシビリティ全般に関する条約を含む決議や指針、国内外の学術論文、関連資料を収集した。今後、英語論文にまとめていく予定である。(2)に関しては、被災4県の関係自治体とデータの閲覧などについての調整を行っており、すでに一部の死亡データの提供を受けた。(3)被災支援を継続して行っているみやぎ心のケアセンター、兵庫県こころのケアセンターなど行政・研究機関および障害者関連団体と調整を行っているが当該年度に計画していたインタビューに関しては日程調整がむずかしく次年度へ持ち越しとなったが、2019年度にインタビュー開始準備は整えることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記(1)の関係資料・文献・論文などの収集は順調に進んでおり、その分析を行っており、予定通りに進んでいる。(2)の死亡率調査に関しては、一部データの提供を受け、これも予定通りに進捗している。(3)の当事者インタビューに関しては、予定が次年度に先送りとなってしまったが、準備調整は順調であり、研究全体に影響を与えうるものではない。全体としては、おおむね順調に進展しているといえよう。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記(1)に関しては、引き続き新たな決議や指針、国内外の学術論文、関連資料に加え、関係者からのヒアリング等を行い、情報収集を行う。また、取りまとめた情報を分析し、論文執筆や学会発表を行う。(2)に関しては、東日本大震災の被災3県(岩手県、福島県、宮城県)における2006年~2016年(発災年及び発災前後の各5年の計10年)の年齢調整死亡率及びその推移を身体障害者、知的障害者、精神障害者及び全人口で比較するために、また、阪神淡路大震災の被災1県(兵庫県)における1990年~2000年(発災年及び発災前後の各5年の計10年)も同様に算出するための残りの自治体データの収集を進める。(3)に関しては、被災4県において、障害者当事者対象にインタビューを行い、コントロール群として年齢や性別をマッチングさせた障害のない人々をサンプリングする予定である。対象者は、災害を経験した障害者手帳(発災前日以前に)をもっていた現在18歳以上のものに対し、自治体から調査の依頼を行う予定である(倫理委員会の議論で変更有)。よって、自治体と調整を行いインタビュー調査の準備を進める。
|
Causes of Carryover |
予定していたインタビュー及び被災地でのデータ収集作業が一部、次年度に持ち越しとなったため、しかし、研究全体期間を通して研究の進捗に問題はない。
|