2018 Fiscal Year Research-status Report
A multidisciplinary study for the training of social workers specializing in harassment problems
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18K02103
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中澤 未美子 名古屋大学, ハラスメント相談センター, 助教 (80777300)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳広 圭子 岐阜聖徳学園大学短期大学部, その他部局等, 教授 (30278452)
坂野 剛崇 関西国際大学, 人間科学部, 教授 (90735218)
松尾 かずな 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (80732677)
和田 尚子 名古屋大学, 国際機構, 特任講師 (70795070)
銭本 隆行 日本医療大学, 保健医療学部, 参事 (20799960)
山口 薫 (桑島) 名城大学, 経営学部, 准教授 (50750569)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハラスメント / ソーシャルワーク / ソーシャルワーカー養成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、文献調査およびインタビュー調査を実施した。文献調査の成果としては、ハラスメントに関連する分野の書籍を幅広くレビューすることができた。具体的には、暴力に関する内容や性的個性に関する書籍、ソーシャルワークの基本的文献などを分析した。また、本研究は様々な分野の専門家が参画している特質があることから、共通する文献を調査しても、解釈や理解が多層である。これらの知見を統合し、ハラスメント問題に適切に対応できるソーシャルワーカー養成に関するカリキュラム提案に繋げていきたい。 また、インタビュー調査は、セクシュアル・ハラスメントや性的搾取に関する支援を実施しているソーシャルワーカーに半構造化面接を実施した。インタビューの具体的内容としては、本研究の目的であるソーシャルワーカー養成について、インタビュイー自身の実践経験や学習経験を通し、インタビュイーの考えを聴取した。インタビューを実施した意義としては、ハラスメント・ソーシャルワークが実践できるソーシャルワーカーに必要とされる機敏性や社会問題の把握スキル、支援ネットワークの構築スキルなど多岐に渡る能力を携えていることの示唆を得ることができた。特に、性に関するハラスメントの被害者を支援するソーシャルワークの専門性を整理することは現在の日本において非常に重要なファクターであり、このインタビューを実施したことにより最前線で活動するソーシャルワーカーより質の高いデータを収集することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
以下2点が生じ当初計画より、やや遅れていると判断した。 第一点目の理由として、研究代表者に所属機関の変更が生じたことがあがる。この転属に関連して、日常のソーシャルワーク業務や他の研究の整理に早急に着手する必要に迫られた。第2点目の理由として、ハラスメントという言葉を取り巻く社会状況の隆盛があがる。これにより古典的文献のみならず、新書などの関連書籍およびマスコミ報道の分析対象が大幅に増加した。しかし、当初計画の大部分を占めている文献調査については、共同研究者らが各自の専門分野のハラスメントに関連すると思われる文献を収集およびレビューすることができている。 ただし初年度であり、共同研究者がそれぞれにハラスメントの概念に関する理解を行い、各自の専門性よりハラスメントを考察する試みを行ったことにより、各研究者のハラスメント概念の基礎は形成されたといえる。これは、次年度の調査研究に向けた基礎の確保となる。以上を総合し、可視化できた成果は少ないことを加味し、やや遅れている区分とした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策は、当初の計画通り2019年度は海外視察調査を実施する。研究方法の変更としては、量的調査を先行させず、海外視察調査を優先させる。その理由として、現在日本において、ILOのハラスメントに関連する条約批准など国際的な注目が集まっているためである。海外調査で得られた知見をもとに量的調査を実施したい。 渡航先は、デンマークを予定している。デンマークでの調査経験が豊富な共同研究者とともに、大学や研究機関を訪ね、視察及びインタビュー調査を実施する。特に、本研究の目的であるソーシャルワーカー養成とハラスメントに関連するカリキュラムについては、資料収集および養成者にヒアリングを行う。その後、現地での調査結果を共同研究者らに共有・討議し、量的調査に結び付ける方策である。
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Causes of Carryover |
研究計画がやや遅れているのと同様、次年度使用額が生じた理由には以下の2点がある。第一点目の理由として、研究代表者の転属がある。これに伴い、研究計画自体が遅れ購入品の減少が生じた。第2点目の理由として、ハラスメントを取り巻く社会情勢の変化があったためである。国際労働機関の示す職場の暴力根絶に関する条約批准を巡り、多方面から情報収集を行う必要が生じた。このため、研究会や研修会等に参加し情報収集に努め、考察をするに留まった。従って、量的調査に係る経費の消費に変更が生じた。次年度は、遅れを取り戻すべく計画的な支出を目指したい。
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Research Products
(31 results)