2021 Fiscal Year Research-status Report
A Basic Research on Person Centered Care for the Elderly Nikkei Minorities
Project/Area Number |
18K02104
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
河本 尚枝 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 准教授 (50403499)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牧田 幸文 福山市立大学, 都市経営学部, 准教授 (00555336)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 移民 / 高齢者 / ケア / その人らしい暮らし |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、国内で移民関連資料を広範に収集し文献研究を行い、協力を得られた個人を対象にインタビュー調査を実施した。得られた知見は学会報告および論文、研究ノートとして発表したほか、ワークショップおよび中国帰国者(高齢期を迎えて日本に帰国した還流移民)の体験を聞く会を他団体と共催して広く一般市民に還元した。具体的には以下のとおりである。 論文(河本)は高齢中国帰国者の生活支援ニーズの低さをソーシャル・キャピタルの観点から分析し、永住帰国後のソーシャル・キャピタルが貧しく永住帰国前と比較して生活の充足を判断することが支援ニーズの低さにつながっていることを明らかにした。 学会発表(牧田)では、高齢中国帰国者の語りから「高齢者」は身体的、文化的に多様であること、経済的に不安を抱えながらも生活の中で生きがいや楽しみを見出していること、社会的資源を活用しつつエイジングを生きていることおよび地域で担う役割を提示した。 研究ノート(牧田)では多文化共生をめぐる諸課題をワークショップ形式で市民に還元するプログラムが果たす役割と今後の展望を整理した。 研究成果の社会還元としては、2021年12月5日に第15回びんご多文化共生連続ワークショップ「外国人高齢者の支援と地域コミュニティについて考える」を開催した(びんご多文化共生研究会、福山市立大学教育研究交流センター、広島県、びんご日本語多言語サポートセンター「びるど」と共催)。また第12回中国残留日本人の体験を聞く会(2021年7月25日、広島県安芸高田市)および第13回中国残留日本人の体験を聞く会(2021年11月23日、広島市)を開催し(広島県、安芸高田市、安芸高田市教育委員会、広島市、中国帰国者支援交流センター、日本中国友好協会広島支部と共催)中国帰国者の高齢期の生活課題および支援ニーズを講演した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度に引き続き、新型コロナウイルスの影響により調査予定地への渡航制限があったことから海外調査ができず、国内の高齢者施設等も感染予防の観点から調査受け入れを認められなかった。また、代替として協力を得られた個人に聞き取り調査を行ったが、その人数が限られたことが主な理由である。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画では2022年度は研究成果のまとめに充てていたが、新型コロナウイルス感染症のため2020年度、2021年度の2年間国内外での調査ができていない。そのため2022年度の予定を変更し、引き続き個人を対象に国内調査を行いつつ研究成果の発表に取り組みたい。国内の高齢者施設入居者への調査は受け入れ許可がでれば調査を行う。同様に、海外(アメリカ、台湾)についても渡航制限が解除され施設から受け入れ許可が得られた場合は調査を行うこととする。
|
Causes of Carryover |
2021年度も2020年度に続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による渡航制限があり、海外調査を行うことができず、国内調査も限定的な調査となった。そのため交通費および調査後のデータ整理(文字起こし等)の予算をほとんど使用しなかったことから次年度使用額が生じている。2022年度も国内外の状況を勘案しながら調査受け入れの許可を得られた場合は海外、国内での調査を行う予定であり、次年度使用額はそれらにかかる費用に充当したい。
|