2018 Fiscal Year Research-status Report
オランダ家族介護負担軽減プロジェクトの日本への導入可能性検討
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18K02109
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
田川 佳代子 (沖田佳代子) 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (10269095)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オランダ / 家族介護者 / ボランティア / 地域リーダー / インフォーマル・ケア / ソーシャル・ガバナンス / アクティヴ・シティズンシップ / 居場所づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画は、オランダで開発された家族介護者支援に携わるボランティアをサポートするための支援ツールとメソッドを端緒とし、それらの支援ツールや方法を可能とする社会的脈絡、アクティヴ・シティズンシップに基づく社会的ケアについて調べる。そのことが、日本の地域で活動するインフォーマル・ケアの担い手や、ボランティア・リーダーらに新たな示唆をもたらし、具体的に活用されていく潜在的可能性について模索する。 今年度は、日本の高齢者介護の制度政策のこれまでの変遷と介護サービス利用状況の実態および、そこから見えてくる課題について主に文献を通して調べた。高齢者介護とガバナンス、高齢者介護とソーシャル・ガバナンスの視点から、市民社会の視点から検討していくことの必要性を指摘した。 オランダでも、日本でも、分権が進められてきたが、分権の脈絡のなかで、市民の果たす責任や義務、地域への参加について、オランダと日本における市民社会の意識は異なり、その違いから学ぶことの意義は大きい。 日本の高齢者介護では、介護保険制度施行後、介護の市場が誕生し、在宅介護や家族介護者支援に携わる地域のボランティアは減少し、高齢化もさらに進んだ。その一方、地域包括ケアシステムでは、地域や市民の責任・義務を強化するものである。住民を支援する団体は、居場所づくりやコミュニティカフェのような住民が身近に集い、交流し、参加する場づくりを支援している。地域社会に参加する新たな市民の協働を、専門職や行政とともに、いかに形成していくかはまさに今日の課題としてあり、本研究でもそこを明らかにすることが重要であると考える。 オランダのアクティヴ・シティズンシップの構想に基づく社会的ケア政策と、ソーシャルワーク・サービスに横たわる市民の姿と日本の地域住民の姿を比較し、市民と市民による自発的な交わりによる支えあいの在り方を探求していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本の高齢者介護の文献整理を優先し、当初に計画をしていた、オランダ関係機関への訪問日程を、次年度に変更した。そして、日本の地域で活動するインフォーマル・ケアの担い手とボランティア・リーダーの活動を把握し、フィールドをめぐり、その実情と課題を踏まえることで、オランダの訪問調査の内容をより特定化することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
オランダの「家族介護負担軽減プロジェクト」で開発された、家族介護者の援助に携わるボランティアをサポートするための支援ツールとメソッドについて、オランダの関係諸機関を訪問し、ヒヤリングを実施する。そのツールについての利用実績と課題を調べる。また、オランダのアクティヴ・シティズンシップに基づく社会的ケアの実際を調べる。
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Causes of Carryover |
本計画で当初予定していたオランダの関係機関への訪問調査を、次年度に変更したため、使用計画に変更が生じた。
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Research Products
(1 results)