2021 Fiscal Year Research-status Report
オランダ家族介護負担軽減プロジェクトの日本への導入可能性検討
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18K02109
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
田川 佳代子 (沖田佳代子) 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (10269095)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 包括的支援体制 / 多機関協働 / コミュニティソーシャルワーカー / 自治体 / 社会福祉協議会 / 民生委員 / 地区社協 / 地域住民 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、ある1つの自治体において、市社会福祉協議会の総合相談窓口に配置されているコミュニティソーシャルワーカーの、個別支援と地域支援の一体的なうごきを明らかにすることを目的とし、窓口担当者へのインタビュー調査を行い、質的研究方法を用いて分析を行った。個と地域の一体的な支援と多機関協働連携として組織内連携・組織間連携がそれらの相互作用の関係を促すことが明らかになった。市社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカーの配置には、委託元の自治体の総合相談課から事業の委託を通して実施されることから、多様な事業、即ち、生活困窮者自立支援事業、生活支援事業、多機関協働連携事業、参加支援事業、それに社協の独自事業など、多様な施策を組み合わせて、コミュニティソーシャルワーカーの配置の財源が確保される関係で、各窓口のコミュニティソーシャルワーカーが個別支援と地域支援の両者を一体的に担うことの難しさも見えた。特に、コロナ禍の貸付や給付金の窓口対応で、地域支援にまで手がまわらない状況が生じていた。 もう一つは、ある市の民生委員・児童委員である地区会長に対しインタビュー調査を行った。地区住民から選出され、民生委員による高齢者支援台帳・災害時支援台帳の作成を中心とし、行政をはじめ、警察、消防、地域包括、学校などとの間における協働連携のうごきを明らかにするところである。 三つ目に、コミュニティソーシャルワークを配置する自治体の包括的支援体制について、総合相談的窓口を担当する自治体職員にインタビューを行った。官民による組織間連携の協働と、それぞれのアクターのうごきを明らかすることで、多面的に構成される地域包括ケアシステムの実態を浮き彫りにすることをめざした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前半は、オランダの家族介護やボランティア、社会的ケアやアクティヴ・シティズンシップについて文献調査から始めた。後半は、日本の地域包括ケアシステムにおける自治体の総合相談、社会福祉協議会の地域担当、地域包括支援センターの社会福祉士、民生委員・児童委員、その地区会長、そして地区社協、地域住民等に関するインタビュー調査の実施へと展開してきた。様々なアクターのうごきを明らかにすることで、地域包括ケアシステムや包括的支援体制の多面的な構成とそれがもつ課題が浮き彫りになった。その点で一定の達成ができた。オランダの現地訪問は、コロナ禍にあって、できていないが、それ以外では、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では家族介護者への支援が焦点にあるが、支援が入るところに家族の存在が希薄であることが明らかになった。家族介護者がいるところでは、行政も、専門職も、民生委員、地域住民も積極的に介入しないことが明らかになった。高齢者支援の場合、積極的に支援が入るところは、家族の関わりがないところである。これまでの調査から、多面的に捉えてみても、この点が共通している。今後の研究の推進方策として、家族がいるところに関わりが行われている事例を掘り起こし、分析を試みる。本人を中心とした社会資源の最大限の活用と、フォーマルなサービスの協働について、検討する。
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Causes of Carryover |
オランダ調査に関する費用が未使用で生じた。オランダ調査に使用する。
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