2019 Fiscal Year Research-status Report
刑事司法と精神保健福祉サービスの地域連携モデルに関する研究
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18K02120
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
戸井 宏紀 東洋大学, ライフデザイン学部, 助教 (00780397)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 精神保健福祉サービス / 刑事司法 / 地域連携 / 精神障害者 / 社会復帰 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は、研究対象とした第一の連携モデル(地域司法精神保健福祉モデル)について、前年度末に実施した米国現地調査結果に基づき、地域連携にかかわる関係者や専門職等の人的資源の状況、そして個別プログラムの有効性に関する研究結果に関する情報も含め分析を行い、研究を推進した。調査結果と分析の主な内容は、令和元年8月に日本犯罪心理学会第57回大会において「刑事司法と精神保健福祉サービスの地域連携構築に向けて」と題して報告を行った。 また同年6月に当該領域の国際学会であるNational Organization of Forensic Social Workの年次会議に参加することにより、刑事司法システムに巻き込まれた精神障害者に対して、刑事司法手続きの各段階(警察段階、検察段階、裁判段階、矯正段階、保護観察・社会復帰段階)において提供されている、地域精神保健福祉サービスの先駆的な取り組みを確認することができた。さらに同大会では、米国ワシントン州の刑事司法ソーシャルワーカーから、精神保健裁判所における治療・教育プログラムの内容、および地域精神保健福祉サービスとの連携について情報提供を受け、米国で展開されてきた二つのモデル(①地域司法精神保健福祉モデル、②精神保健裁判所モデル)を比較検討していく上で、重要な示唆を得ることができた。 第二の研究対象である精神保健裁判所モデルについては、問題解決型裁判所としての役割とその効果、そして地域連携における課題を整理・明確化することに重点を置き、米国を中心とした文献調査、関連学会における研究動向の調査と、収集した資料の整理・検討を行い、聞き取り調査実施のための事前検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第二の精神保健裁判所モデルについては、事前検討結果を踏まえ令和2年3月に米国における現地調査を計画したが、新型肺炎の感染拡大が予測されたため、令和2年度の調査実施へと計画を延伸しているため。 新年度は、現地調査実施計画(あるいは調査実施が困難な場合のバックアッププラン)に基づき、刑事司法手続きの各段階において地域精神保健福祉サービスを活用する上での課題検討を進め、最終年度のとりまとめと研究目標の達成につなげていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は、第二の連携モデル(精神保健裁判所モデル)について、刑事司法関連部門間の連携と、治療・教育プログラムの内容、および地域精神保健福祉サービスとの連携について明らかにするため、実地調査を再度計画する。 このモデルにおいては、精神保健裁判所を中心に地域精神保健福祉サービスとの連携が進む州を対象とし、裁判所、公的弁護人局、矯正局、精神保健福祉局といった州内各部門がどのように協働し、刑事司法システムに巻き込まれた精神障害者の社会復帰に向けた精神保健福祉サービスが提供されているか、資料収集と関係者からの聞き取り調査を中心として、研究を進める。また、新型肺炎の終息時期も注視し、実地調査が実行できない場合のバックアッププランも作成する。 その上で、二つのモデル(①地域司法精神保健福祉モデル、②精神保健裁判所モデル)について、刑事司法と精神保健福祉サービスを提供する関係部門間の連携の仕組み、治療・教育プログラムの内容、関連する専門職と人的資源の配置状況、予算規模等を含め、包括的に比較分析することにより、刑事司法と精神保健福祉サービスの地域連携モデル導入の可能性について検討し、提案を行う。 最終的に、刑事司法システム及び精神障害者を取り巻く日米間の歴史的、社会的、文化的背景等の違いを可能な限り考慮した上で、それぞれのモデルにおける個別プログラムの有効性に関する研究結果等、科学的根拠に基づいた研究データを最大限に活用し、導入の可能性について具体的な提案を行いたい。
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Causes of Carryover |
令和元年度(令和2年3月)に計画した聞き取り調査を、新型肺炎感染拡大の影響により令和2年度の実施へと計画を延伸したため。当該額は、調査のための旅費支出として新年度に使用を計画する。
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Remarks |
戸井宏紀 米国コネティカット州のフォレンジックソーシャルワーカーの取組みについて 東京精神保健福祉士協会司法ソーシャルワーク委員会勉強会(招待あり) 2019年5月
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Research Products
(7 results)