2021 Fiscal Year Research-status Report
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18K02124
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
森田 久美子 立正大学, 社会福祉学部, 教授 (40308127)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 若者ケアラー / ヤングケアラー / 無業 / アウトリーチ / 家族全体への支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
子ども・若者ケアラーに対するアウトリーチによる支援事例の収集を行った。子ども・若者ケアラーの問題は表面化しづらい構造となっていていることから、事例の分析は、ケースの<発見>及び<状況>、支援ニーズについての<アセスメント及びプランニング>、<支援><課題>について行った。その結果、支援の必要な若者ケアラーの<発見>は、ケアを必要とする家族の支援者による家庭訪問の中で行われ、若者ケアラーの<状況>は、健康悪化による高校の欠席、中退、自宅へのひきこもりとなっていた。孤立し無業の状態にある若者ケアラーの<発見>にあたっては、ケアを必要としている人に関わる支援者等によるアウトリーチが重要であると考えられた。また、<アセスメント及びプランニング>は、若者ケアラー及びケアを必要とする家族それぞれについて行われていた。発見者から連絡を受けた自治体の主担当部局がコーディネーター役を担い、関連機関から情報収集しニーズ把握を行うと共に、生活保護・精神保健、障害福祉等の複数の関連部局の連携のもと、若者ケアラーの自立の促進及び若者ケアラーのケア負担軽減に向けた支援計画の立案が行われていた。実際の<支援>では、家族それぞれに支援が行われていた。若者ケアラーへは、訪問看護による医療的支援及び余暇支援、復学や就業に向けた支援、ケアを必要とする家族には、経済的支援及び医療的支援、家事支援が提供されていた。孤立し無業の状態にある若者ケアラーへの支援にあたっては、自治体が支援のコーディネーター役となり多機関連携によって家族全体を支援し、若者ケアラーのケア負担の軽減に取り組むこと、若者ケアラーに対するアウトリーチによる関係形成、健康や余暇、教育・達成、経済面への包括的な支援の提供が必要であると考えられる。また、在学中の発見・支援による中退の防止、ピアサポートの開拓が課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
今年度は、オンライン等を利用し、若者ケアラーの支援に取り組んでいる団体に対し、支援事例についての聞き取りを行うことができた。一方、支援団体の活動そのものについては、団体の活動場所に出向いてヒアリングを行うことで、その活動の全体を把握することが可能であることから、Cov-19が蔓延している間、訪問によるヒアリング調査の実施を見合わせることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年4月に内閣府より出された「子供・若者育成支援推進大綱」において「困難を有する子供・若者」にヤングケアラー」が位置づけられことを受け、ヤングケアラー・若者ケアラーの支援に取り組む若者支援機機関・団体が出てきている。さいたまユースサポートネット、世田谷若者葬儀支援センター、札幌市若者支援総合センター(Youth+センター) 、京都ユースサービス協会、こうべユースネット、認定NPO法人カタリバなどである。これらの団体に、若者ケアラーの支援への取り組みを始めた背景や把握しているニーズ、支援の取組み等についてヒアリング調査を行い、無業の若者の支援ニーズを明かにするとともに、若者支援機関に期待される支援について明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
昨年度予定していた、若者支援機関への訪問によるヒアリング調査を、コロナ禍により実施できなかっため。
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Research Products
(5 results)