2018 Fiscal Year Research-status Report
認知症高齢者の終末期ケアのアウトカム評価および家族の満足度評価に関する研究
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18K02129
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
後藤 真澄 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (70301710)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 認知症 / 看取り / 終末期 / 評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、認知症高齢者の終末期ケアの実態を探り、認知症をもつ高齢者への尊厳あるケアや家族の満足度を高めるケア内容及びそのアウトカム評価の指標を明らかにすることである。研究の対象は、介護老人福祉施設(22施設)で看取りケアを受けた事例の家族(90名)及び看護、介護職等ケア提供者90名の評価である。方法は、後ろ向き事例研究(90事例の分析)とした。。第1に、家族には、介護施設職員により研究についての説明と同意を得て、「家族満足度調査」を行ってもらった。第2に、家族満足度の調査協力の得られた事例に対して、職員による後ろ向き事例調査を開始した。対象事例の担当者(ケア提供をした看護師、介護士及び関係したチームメンバー)から実施記録データをもとに、死亡時点からさかのぼり、看取りケアプランを立案後のケア実施期と、臨死期のケア到達期の二時点の状況の情報を収集し、「ケア環境条件」と「ケア実施度」「ケア到達度」への記入を行ってもらった。家族満足度評価の指標は、米国(Volicer. et al., 2001)で開発されたEOLD-SWC:Satisfaction with Care.(著作権者より使用許諾済み)を用いた。第1は、認知症高齢者が何処でどのようなケアを受けたいかの意思決定に関しての支援の在り方である。高齢者の認知機能の低下によって意思決定能力に不確かさが生じることや死に対する受動的な姿勢が、家族の意思決定時に家族を困惑させることである。家族の満足度調査においても「人生の最後により良好な医療が必要」に関する質問に迷いが見られた。この質問に関する答えにくさが関係しているが、家族には、医療というよりケアが求められていた。家族満足度調査においても「本人様の状況をきちんと理解していない」ことや「より多くの情報があれば異なる決定をしていた」等の項目に関する評価が低い傾向が見られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特別養護老人ホームの調査に加え、新たに今年度は、認知症高齢者が入所する最も主要な施設であるグル―プホームを対象にし、看取りの実態を捉える調査研究を計画している。 認知症高齢者の終末期ケアの特徴は、死への過程が長く多様なこと、本人の意志確認が困難であり、家族にすら理解が難しいことなど、厳しい条件が重なるため、生活の場での看取りを困難にしている。しかし、グル―プホームにおいても、生活の場として制度化されたため、医療的なケアを行う体制が未整備であることから、十分な看取りケアが行えていないと考える。 そこで、本学の実習地域である愛知県東北部や岐阜県中濃、東濃地区を中心に看取りケアの実態調査をワムネットから情報収集をするとともに、グル―プホームの管理者への意識調査を321件に対して行った。今後は、調査対象の中で承諾が得られた施設を対象に質的調査を行い、グル―プホームにおける看取りケア内容及びそのアウトカム評価の指標を明らかにし、ケアの実態を捉えたいと考えている。以前、行った特別養護老人ホームの調査と比較し、グル―プホームの看取りケアの特徴と課題を明らかにすることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、グル-プホームの看取りに関するアウトカム指標を明らかにし、家族の満足度調査および看取りケアにかかわった人の看取りケアの評価を行う。 そして、特別養護老人ホームと看取りケアの質に関する比較を行うことにより、グル-プホームの看取りケアの現状や課題を明らかにする。 さらに可能であれば、小規模多機能型サービスにおいても同様に調査を行いたいと考えている。家族の満足度評価については、同意が得られるかなど、調査への課題が多いが、説明と同意を得るように努力していきたい。
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Causes of Carryover |
個人研究費を用いることにより、来年度の費用が少ないため科学研究の費用に対して残額をのこしたかった。できれば、学会の発表を国際学会でしたいと思う。そのためにも費用が必要である。
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