2018 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Research of Japan and Korea in Workfare Policy to Support Social Independence of Needy People.
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18K02136
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Research Institution | Kobe Shinwa Women's University |
Principal Investigator |
戸田 典樹 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (70584465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 聡子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (30582382)
大友 信勝 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学研究科, 教授 (50085312)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生活保護制度 / 自立論の二面性 / 「適正化」政策 / 現場実践 / 時期区分 / 自助 / 地域生活支援 / デンマーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究実施計画について、2018年7月に神戸親和女子大学倫理審査委員会に研究倫理審査を申請したところ12月に「承認」された。 研究成果については、障がい者の自立論をテーマにした「地域生活支援における日本とデンマークの比較研究-デンマークの教訓と課題を中心に-」(神戸親和女子大学福祉臨床学科紀要第16号2019年3月)を作成した。内容は、デンマークと日本との地域生活支援の違いを政策形成過程を通して検討した。デンマークでは、ノーマライゼーションという言葉と思想を組み込んだ1959年法を契機に様々な地域支援策が展開された。1960年代から70年代に進んだ地方分権、1980年代から90年代に進められた居住保障、2000年から2010年までに進められた労働市場の整備が障がい者、高齢者の生活を支えていった。 それに対して、日本では知的障害者入所施設「津久井やまゆり園」殺傷事件に見られるように障がい者が未だ人里離れた大規模施設で世の中から恩恵を受ける存在として生活している。デンマークのように障がい者への居住・仕事・余暇の三つの側面で一般市民と同じ(ノーマルな)水準を確保するため、自助、自立、家族制度に依存した日本の制度を見直すこと、そして、制度を有効に活かす専門職制度の確立が日本にとって大きな課題となっていることを指摘した。 さらに、2019年3月に社会政策学会総合福祉部会が主催した「生活保護における『自立論』」というシンポジウムで「生活保護制度における自立論の歴史的変遷」を発表した。内容は、生活保護制度における自立論の時期区分を行い、生活保護費を抑制する「適正化」政策と最低生活を保障したうえで多様な自立を目指す現場実践とに分かれ展開されてきたことを明らかにしようとしたものだった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
神戸親和女子大学倫理審査委員会に対して依頼した研究倫理審査に約6ケ月かかり、実態調査などに後れを生じた。このため生活保護行政との対極にある障がい者の自立論についてデンマークの地域生活支援をもとに研究を進めた。研究成果として障がい者の自立論については、2019年1月、報告書と論文を作成した。 さらに、生活保護制度における自立論の形成過程について歴史的視点をもとに時期区分を行った。研究成果として、2019年3月、社会政策学会総合福祉部会主催のシンポジウム「生活保護制度における『自立論』」に「生活保護制度における自立論の歴史的変遷」という表題で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年3月、社会政策学会総合福祉部会主催のシンポジウム「生活保護制度における『自立論』」で生活保護制度における自立論についての時期区分「生活保護制度における自立論の歴史的変遷」を発表した。 今後は、2019年5月に開催される社会政策学会第138回大会のテーマ別分科会で「生活保護制度の自立よ自助の歴史的変遷」として発表し、さらには学会誌「社会政策」に投稿する予定である。 さらには、2019年度中に生活保護制度における就労支援と意欲喚起という視点で、現場で取り組みを行う組織に実態調査を行い、論文を作成したいと考えている。
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Causes of Carryover |
本研究の事業計画について神戸親和女子大学研究倫理審査委員会からの「承認」が予定より遅れ、実態調査等が予定通り進まなかった。
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