2019 Fiscal Year Research-status Report
Comparative Research of Japan and Korea in Workfare Policy to Support Social Independence of Needy People.
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18K02136
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Research Institution | Kobe Shinwa Women's University |
Principal Investigator |
戸田 典樹 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (70584465)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 聡子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (30582382)
大友 信勝 聖隷クリストファー大学, 社会福祉学研究科, 教授 (50085312)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生活保護制度 / 自立論 / 歴史的分析 / 時期区分 / 第4次生活保護「適正化」期 / 社会的セーフティネット / 就労インセンティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年5月に第138回社会政策学会テーマ別分科会第6「生活保護における『自立論』」で「生活保護制度における自立と自助の歴史的変遷」を発表した。その内容は生活保護制度における自立論についての時期区分を行い、2013年度から始まった生活保護費を抑制する第4次「適正化」期(2013年度~2015年度)を迎えており、生活保護制度だけの見直しだけではなく社会的セーフティネットの再構築の必要性を訴えた。なお、その報告結果は、2020年3月に「社会政策」第11巻第3号(通巻第34号)において「生活保護における『自立論』」に「生活保護制度における自立と自助の歴史的変遷」(PP77-90)として掲載された。 また、9月に実施された第67回社会福祉学会秋季大会において「現代の生活保護制度における自立論の課題-『切れ目のない就労・自立支援とインセンティブの強化』という自立論を題材として-」を発表した。この内容は、生活保護受給者に対して、就労インセンティブの希薄さが指摘されているが、実際に生活保護自立支援プログラム参加者はどのような状況にあるのか、現場担当者であるケースワーカーの視点から4類型に分けて報告した。 さらに、継続的に実施していることなのだが、学生、社会人、他大学の研究者とともに実施している大阪市釜ヶ崎、飛田新地でのフィールドワークをテーマに「社会的セーフティネットからこぼれる人たち―釜ヶ崎・飛田新地フィールドワークから考えたこと―」(2019)という報告書を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度においては、調査チームを立ち上げた。また、日韓両国における自立支援研究の到達点として教育プログラムなどの多様な自立への取り組みの有効性を確認した。また、課題として自立への取り組みが就労自立、経済的自立に偏重してきており多様な自立への取り組みが弱体化しているという課題を確認した。そして、これらを研究課題として研究の枠組み、自治体、NPO法人、支援者、当事者などへの調査計画など作成した。作成した調査計画については、「神戸親和女子大学研究倫理審査委員会」において倫理審査を受け、承認を得た。 本年度においては、生活保護制度における自立論の形成過程について歴史的分析は、第138回社会政策学会での学会発表、学会誌における掲載を行うことができた。また、現代社会における自立論をテーマとして、第67回社会福祉学会において「生活保護第四次『適正化』期における就労支援を考える-有期保護、金銭給付プログラムなどのインセンティブ就労を題材として-」を発表した。 一方、韓国において自治体、NPO法人、社会的企業など協力を得て、韓国調査を実施する予定であったが、コロナウイルス問題ぼ影響で、韓国での実態調査は実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に予定していた韓国における自治体、NPO法人、社会的企業などを対象とした実態調査はコロナウイルス問題で、実施できなかった。このため日本の生活保護行政における政策動向と当事者、現場で働く職員や研究者などの研究運動による自立論の展開について歴史的変遷をまとめた。さらに、2020年度においても予定されている日本における生活困窮者支援事業や生活保護制度について、当事者や支援者を対象としたインタビュー調査なども大幅な縮小が予想される。 このため韓国や日本での実態調査については、コロナウイルス問題に大きく影響を受けるが、可能な範囲で実施したいと考えている。 なお、これまでの研究成果を2021年3月までに「生活保護における自立論」をテーマとした単著を作成したいと考えている。学会については、現在のところ社会福祉学会、社会政策学会など軒並み中止となっているが可能な限り発表していきたい。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナウイルスの影響により、予定していた海外調査、国内研究会への参加を見送ったためだった。
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