2019 Fiscal Year Research-status Report
島嶼地域型互助の実践モデルの開発・評価及び地域包括ケアの連携・協働に関する研究
Project/Area Number |
18K02138
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
岩崎 房子 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 教授 (60352473)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 島嶼地域型互助 / 生活互助 / 介護互助 / 地域包括ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象地である奄美大島大和村・加計呂麻島・請島・与路島は、過疎高齢化が進行し、安心した生活を送るうえで基盤となる医療・介護資源、加えて人材資源(医療・介護専門職)に乏しいという共通課題を抱えている。つまり、医療や介護を必要とする状況になることは、島外に出ることを意味する地域である。しかし、このような環境であるがゆえに、相互扶助(互助)の伝統等の地域文化とその精神が残っている。この「島嶼地域型互助」慣習を福祉資源の観点から着目し、その上で、地域文化に融和する互助慣習を基に、元気高齢者しか地域で生活することができない地域住民による介護資源(介護互助)の開発に向けて、住民の介護互助力を引き出し、安心・安全な地域再生モデル開発・評価と島嶼地域における地域包括ケアの連携・協働に関する研究に取り組んでいるところである。具体的には、①伝統文化が根深く残る島嶼集落の地域文化を福祉資源の観点から掘り起こし、②医療・介護資源に乏しい地域において、安心・安全の要素である介護資源(介護互助)の開発、③それを活かした地域再生・活性化を地域リハビリテーションの手法を基に構築することを目指している。 研究2年目である今年度は、上記②を実施している。地域支え合い活動に着手している大和村、着手して間もない加計呂麻島・与路島の現状把握(資料収集・聞き取り調査)を行った。また、集落住民の介護互助力を引き出すために、大和村内2集落と与路島において集落住民を対象に介護予防教室、大和村の施設職員を対象に介護教室を実施した。現在は、介護予防教室および介護教室で行ったアンケート調査および補完調査から、集落住民の介護互助力と介護の地域化の可能性について分析中である。なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から加計呂麻島での介護教室、大和村のアンケート調査を見合わせた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究初年度(平成30年度)から現在までに、伝統文化が根深く残る島嶼集落の地域文化を福祉資源の観点からの分析および医療資源・介護資源に乏しい地域における、安心・安全の要素である介護資源(介護互助)の開発に向けての分析を行っているところである。令和2年度は、介護資源(介護互助)の開発に向けて、集落住民の介護互助力を引き出す目的で、集落住民を対象に大和村の2集落において介護予防教室、施設職員を対象に介護教室を実施した。また、与路島においては、集落住民を対象に介護予防教室を行った。 当初の計画では、3月上旬に加計呂麻島にて、介護の地域化を目的に施設職員を対象とした介護教室を実施する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から実施を延期し、集落の高齢者と地域包括支援センター職員への情報収集のみ行った。同様の理由により、大和村においても地域支え合い活動の中間評価のためのアンケート調査を実施する予定であったが、対象者のほとんどが高齢者であり、聞き取りにて補完しながらの調査となるため実施を中止した。そのため、研究の進度、特にデータ収集に遅れが生じている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度となる令和2年度の当初の計画は、安心・安全の要素である介護資源(介護互助)の開発、介護の地域化を主軸とした島嶼型地域医療・介護の実践モデルの構成要素を分析し、実践モデルの試案を提示し、公表する予定である。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、令和元年度に計画していた加計呂麻島の職員を対象とした介護教室および大和村の地域支え合い活動の中間評価のためのアンケート調査が実施できなかったため、データ収集に遅れが生じている。そのため、現在までに得られている予定より少ないデータとなるが、分析を行い公表していく予定である。令和2年度は研究最終年度となるが、新型コロナウイルス感染症の動向をみながら、研究計画の検討を随時行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、令和元年度に計画していた加計呂麻島の職員を対象とした介護教室および大和村の地域支え合い活動の中間評価のためのアンケート調査が実施できなかったため、これらの研究調査にかかる予算執行を次年度に繰り越すことになった。 (使用計画)次年度使用額として積み残した予算については、新型コロナウイルス感染症の動向をみながら、使用の可否を検討していくこととなるが、調査が可能な状況となれば、①介護教室実施に伴う旅費・調査協力者謝金等、②地域住民アンケート調査に伴う調査票印刷費・調査票封筒印刷費・郵送費等に充当する予定である。
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