2022 Fiscal Year Research-status Report
地域に暮らす認知症高齢者の日常生活支援ニーズの可視化と背景要因の検討
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18K02139
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Geriatric Hospital and Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
杉山 美香 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (70415503)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高齢者 / 日常生活支援ニーズ / 認知機能低下 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス感染症流行下において遅れていたフォローアップのための会場調査が2023年度に延期された。そのため2022年度はデータの再分析を行い、高齢者の生活支援ニーズの因子構造について検討を行った。生活支援ニーズ項目を用いて探索的因子分析を行った結果、「家事支援」「権利擁護」「家族的支援」「社会参加支援」「受療支援」「余暇支援」が抽出された。認知機能に関しては,健常群に比べて低下疑い群,低下群でより日常生活上感じる困りごとへのニーズがあった.この結果は,認知機能低下が軽度の段階にあり,介護保険などの公的サービスが適応にならない高齢者に対しても,包括的な日常生活支援のニーズがあることを示唆している.性差については女性の方がニーズを感じやすく,特に低下群においては家事や受療支援に男性との違いが認められ,性差や本人の状態に合わせた生活支援サービス内容と提供方法についての検討が今後必要であると考えられた. インタビュー結果から介護保険サービスでカバーできない日常的な生活支援の中に服薬管理や公共料金の支払い、金銭管理など「家族的支援」があるが、これらの日常生活支援サービスについては、他の因子よりも支援が必要であるという本人の自覚が少なかった。支援者側が日常的な生活支援を提供しようとする場合に、本人のニーズとのミスマッチが起こることも考えられるため、その提供方法をさらに検討する必要性があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は新型コロナウィルス感染症流行下において全体の会場面接調査の進行が遅れ、フォローアップ調査が2023年度にずれこんだが、データの再分析により因子構造の中でも「家族的支援」についての特徴が明らかになった。研究成果については論文の執筆中であり、研究はやや遅れているものの進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度においてはフィールドとの調整を行い2024年2月にはフォローアップのための会場調査を実施予定である。その他に、調査対象地区の高齢者や実際に日常生活支援を実施する支援者等に協力を求めてグループディスカッションを行い、日常生活支援ニーズの質的分析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症流行下において研究計画が遅れており、2023年度に調査がずれ込んだため次年度予算使用額が生じた。次年度については、調査実施、データ整理に関しての人件費や研究成果を報告するために学会参加費等に使用予定である。
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Research Products
(1 results)