2018 Fiscal Year Research-status Report
Social support and recovery network of alcoholics
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18K02140
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Research Institution | Tokyo Online University |
Principal Investigator |
若林 真衣子 東京通信大学, 人間福祉学部, 助教 (70550549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 啓 岩手県立大学, 社会福祉学部, 講師 (20646426)
大竹 伸治 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 准教授 (40382577)
森谷 就慶 東北文化学園大学, 医療福祉学部, 教授 (80382696)
若林 功 東京通信大学, 人間福祉学部, 助教 (20714934)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アルコール依存症 / 地域ネットワーク / 飲酒理由 / 自己治療仮説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,アルコール依存症(以下,ア症)者の「回復」像を明らかとし(研究1・2),現存する支援ネットワークを手掛かりに,支援者が支援しやすい環境について考察(研究3・4・5),研究1~5の結果より,最終的には支援ネットワーク構築について提言することを目的としている. 初年度である2018(平成30)年度はア症者の回復像を明らかにする過程の一環として,以前の調査後量的分析が難しかったため発表されていなかった,「ア症者がア症になるに至った飲酒理由」の分析を自助治療仮説の観点から質的に行った.自己治療仮説によれば、人が物質摂取に耽溺してしまうのは,それが心理的苦痛を軽減したり,取り去ったり,変化させたりといった効果が強いからであり,心理的苦痛を緩和する際にどの物質を選択するかには個人差があるという.この自己治療仮説について,我が国では臨床的な経験より支持している知見は多いが,実際に飲酒理由を一定数のアルコール依存症者らを対象に調査したものは多くない.KJ法を参考に分類したところ,アルコールの使用目的という観点から最大で①薬としてのアルコール(向精神薬及び睡眠剤としての飲酒)、②体質、③生活スタイル(生活スタイルによる飲酒機会の増加)、④分類不可、⑤無意識・不明の5つに分類された.「薬としてのアルコール」に分類されるものは,何かへの対処としての要素を含む記述が多く,「薬としてのアルコール」に分類されたものが多かったこと自体が苦痛を緩和するために何かしらの依存物質等に耽溺するという自己治療仮説を支持する結果であると考える.「薬としてのアルコール」は全体人数の 66%を占めており,「薬としてのアルコール」としてまとめられるグループの結果が自己治療仮説を支持するものであるとした場合,自己治療仮説が支持できるということが本研究より示唆されたと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成30年度についてはア症者の回復過程について質的に明らかにすることを目的としていたが,別の理論という観点からは目的は果たしたものの,自己意識との関連性についてまとめる工程の最中である. また、平成31年度はア症者支援ネットワーク構築に成功している地域の各資料の分析及びキーパーソンへの調査が予定されている.資料は収集しているがまだ十分とは言い難く,インタビュー対象者は絞り込めているものの,調査計画が完成していない. 以上より,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で述べた遅れている部分を遂行することに加え,アルコール依存症者の地域支援ネットワークについてできる限り全国のアルコール健康障害対策推進計画の内容を,それぞれの地域の現状と併せて確認する.また,新たに支援ネットワークが構築された事例として,東日本大震災後の東北におけるアルコール依存症者支援についての調査を準備している(令和2~3年度を予定). 研究分担者については,研究分担者の最大の役割であるそれぞれの専門的な視点からの提言ができるよう,文献研究を進めてもらっている.また一部の研究分担者には,今年度より開始される調査への協力を依頼している.
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Causes of Carryover |
充足率が低かったため、研究費の使用計画について変更が必要となった。特に調査に関する旅費データ分析等のため、2018年度は経費を節約し、今後の予算として確保した。
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Research Products
(2 results)