2021 Fiscal Year Research-status Report
認知症ケアの階層モデル構造をふまえた介護スタッフのスキルアップ規定要因の検証
Project/Area Number |
18K02155
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
佐藤 ゆかり 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20551815)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 理紗 姫路獨協大学, 医療保健学部, 助教 (20881080)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症ケア実践 / 介護福祉士 / 認知症とともに生きるご本人 / 生きる意欲を支える・見出すケア |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの研究で、介護福祉士は、「生きる意欲を支える・見出すケア」等の領域について、介護スタッフチームを牽引している可能性が見えてきた。そこで今年度は、介護福祉士を対象に、認知症とともに生きるご本人の講話を聴講する機会を設定し、認知症ケア実践について得られた気づきと実践の変化を、自己評価により記述することを目的とした。 調査対象者は、認知症ケア実践に従事する介護福祉士15名とした。認知症とともに生きるご本人の講話は、質疑応答等を含め3時間とした。加えて、調査対象者が実践するケアについて、ご本人からコメントを受ける場面を設定した。倫理的配慮として、参加は任意であること、データは無記名で収集し情報保護に配慮することなどを説明し同意を得た。また、研究代表者所属機関の倫理委員会の承認を得て実施した。 回答が得られた13名の平均年齢は49.5±7.5歳、女性が10名であった。勤務先は、福祉施設が約3割、病院が約3割等であった。ケアへの気づきは、「ご本人がどう感じているかを見つめることが必要。ご本人がまず何をしたいのか聴くことが求められる。本人を主体とすると見えなかった意欲が見えてくる。歴史を大切に。今日の目標や夢を共有することは、意欲を引き出し活力につながる。」等が記述された。 実践の向上が確認された項目は、「希望の再発見を可能にする」「生活の継続性の保持」等であった。「ご本人を主体として生活を見つめなおした。寄り添う姿勢を意識した。しっかり話を聴く時間を増やした。困りごとよりもやりたいことを尋ねた。今日の目標を一緒に設定した。本人がやりたいことを軸にケア内容を組み立てなおした。これからの夢や人生をどう送っていきたいかを以前より本人に聞くようになった。中期的長期的なイメージを楽しみとともに持つようなった。」等の変化が記述された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの調査結果から、計画時に想定できていなかった方向性が見いだされたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究から、認知症とともに生きるご本人の語りを、対面で直接聴く機会を設けることによる気づきと実践の変化を記述的に明らかにした。今後は、認知症ケア実践の下位領域と想定している、「安定・安全・環境整備」「自己決定と自由の尊重・権利擁護」「役割を継続した自立支援と予防ケア」「生きる意欲を支えるケア」「社会的交流・家族支援・地域ケア」に沿って、気づきと実践の変化を記述していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延により、学会大会がオンラインとなり、旅費を次年度発表用に繰り越したこと等。
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