2019 Fiscal Year Research-status Report
児童生徒の問題行動予防プログラムの構築―問題行動と抑うつの関連に着目して―
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18K02156
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
周防 美智子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90584011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 典樹 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (70584465)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 問題行動 / 抑うつ / 予防プログラム / 家族関係 / 児童虐待 / 学力課題 / 経済状況 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、児童生徒の問題行動の要因を抑うつから検討するために、児童生徒と担任を対象に、抑うつと行動、学習、経済、家族などの状況について調査を行った。調査は児童生徒にBirlesonの子ども用自己記入式抑うつ評価尺度(DSRS-C)を用い、担任に『行動が年齢より幼い』『暴言や暴力がある』『学習意欲がある』『休み時間に友人の交流がある』など8項目の行動評価と経済状況、児童虐待、家族関係、学力課題などの6項目について質問紙で行った。 調査は、2019年7月(1回目)と12月(2回目)に校内で全児童生徒を対象に一斉に行った。1回目は、5小学校3,145人、2中学校1,289人と教員168人を調査対象に行った。2回目の調査は1回目対象校と児童虐待などの課題が多い中学校区で実施した。調査対象は7小学校4,061人、3中学校1,779人と教員223人である。 分析は、有効回答の児童生徒1回目4,353人と教員168人、2回目5,710人と教員223人を対象に分析ソフトを用いて行った。抑うつ状態は、1回目小学生12.5%、中学生14.7%に、2回目小学生11.6%、中学生16.6%に見られた。2回目に拡大した児童生徒の抑うつ状態は他校より高い数値であった。抑うつ状態と担任の行動評価、経済状況などの項目について相関分析(p<.01)を行った。小学生は、抑うつ状態と『行動が年齢より幼い』『座っていられない、落ち着きがない』『物を壊す』『学習意欲』『休み時間の友人交流』『学校生活全般の元気』『家族関係』『学力課題』などに、中学生は『行動が年齢より幼い』『学習意欲』『休み時間の友人交流』『学校生活全般の元気』『経済状況』『児童虐待』『家族関係』などに正の相関を示した。 調査結果をもとに、問題行動予防プログラム作成について教育委員会、教育相談担当教員、SSW等と協議を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究スケジュールに沿って、2回の調査を実施できた。1回目の調査結果から2回目の調査において対象を拡大したことは、問題行動予防プログラム構築に大きな意義を持った。 調査結果を研究協力者である教育委員会、学校管理職や教育相談担当者、担任、校内の専門職にフィードバックすることから、研究への理解と積極的な協力・参加を得ることができ、プロフラム構築に向けて動き始めることができた。 現在、教育委員会(担当者)や教育相談担当者、SSWなどと問題行動予防プログラムの作成に向けて協議を行っている。 研究報告について、令和2年度に学会報告(2学会)予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度、問題行動予防プログラムの作成に向け、①昨年度の調査結果から示唆された、問題行動と抑うつ状態に影響を与えている家族関係、児童虐待や学力課題について調査規模を広げ実施し、プログラム作成の根拠とする、②調査結果に基づきプログラムを教育委員会(担当者)や教育相談担当者、SSWなどと作成する、③プログラム実施校と対照校においてプログラム効果の測定、について予定していた。 しかし、コロナウイルス感染予防から研究協力校が休校状態であること、開校したとしても児童生徒や教員の負担を考えると、研究を予定通り推進することは困難であると考える。6月に教育委員会との協議を行う予定である。児童生徒、学校の安全を第一に考え、今年度は研究の縮小もしくは延期は仕方がないと考えている。研究の縮小、延期が生じたとしても研究推進に教育委員会や専門職の協力の承諾を得ている。 研究成果の報告として、昨年度の研究結果について学会報告2件を予定している。
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Causes of Carryover |
学会発表を予定していたが、調査結果が得られた時期に学会開催がなかったため、発表ができず使用額が抑えられた。 しかし、今年度問題行動と抑うつ状態に影響を与えている家族関係、児童虐待や学力課題について調査規模を広げ実施(児童生徒約11,000人、教員約460人)や小規模で問題行動予防プログラムの効果測定をする計画である。そのため、データ入力費の増加が見込まれる。また、今年度は、昨年度の研究成果について、学会発表(日本小児保健協会、日本公衆衛生学会など)を予定していることから、研究費の増加が見込まれる。
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