2018 Fiscal Year Research-status Report
在宅高齢者虐待における養護者支援の現状を踏まえた新たな支援策の開発研究
Project/Area Number |
18K02165
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
山口 光治 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (90331579)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高齢者虐待 / 養護者支援 / 虐待防止 / 介入方法 / ソーシャルワーク・プラクティス / 支援困難 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、在宅において発生している高齢者虐待の養護者支援を、より専門的な実践(ソーシャルワーク・プラクティス)へと強化していくことにある。そのために、まず、全市区町村を対象に養護者支援の現状と課題について調査し、養護者支援内容の実態を明らかにする。そして、事例研究により、虐待をしている養護者の置かれている状況や環境、養護者自身の特性などを踏まえて、養護者が虐待をしてしまう理由(タイプ)に合った支援のあり方を明らかにし、養護者支援の指針や手引きの作成を行うものである。 研究1年目では、「養護者支援研究会」を研究の推進母体とし6名のメンバーで計3回の研究会を開催した。そして、各市区町村の高齢者虐待の養護者支援の現状と課題、養護者支援内容の実態を明らかにするため、調査計画及び調査票等を検討した。当初は全市区町村(1,741)に対して郵送調査を実施する予定であったが、予算的な問題や養護者支援内容を確実に把握することを第一とするために次の対象に絞って調査を実施した。 平成28年度全国調査結果(厚生労働省)において「養護者による高齢者虐待の事実が認められた事例の件数」が400件以上の11都道府県(東京都2,431件、大阪府1,356件、愛知県971件、兵庫県920件、神奈川県902件、千葉県816件、埼玉県681件、京都府634件、福岡県495件、新潟県461件、北海道442件)の645市区町村に対して、「市区町村における高齢者虐待の養護者支援に関する実態調査」を郵送にて実施した。 その結果、3月末締切で243件の回答が寄せら、回収率37.7%であった。養護者支援の現状と養護者支援を進めるうえでの困難が明らかになった。次年度は、回答があった中から特色ある自治体の取り組みから、養護者支援の工夫や支援姿勢などを聞きとるため5か所の訪問事例調査を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究計画に基づき実態調査を終えた。回収率を上げるために調査票の締切期限を延長したため、調査結果の分析が2年目にわたっているが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目は、「養護者支援のあり方に関する事例研究調査の実施」が主たる計画にある。この調査は、平成31年度~32年度に取り組む予定である。1年目に実施した実態調査に回答のあった市区町村の中から、養護者支援に積極的に取り組む自治体5か所を選定し、協力を依頼し、共同研究を実施する予定である。 そこでは、筆者らが29年度までに取り組んだ先行研究成果「虐待をしている養護者のタイプ分類と支援方法」を用いて、現在対応している養護者支援に活用していただき、①タイプ分類の適合の可否、適合するタイプがない場合は新たな分類の検討・策定を行い、②養護者支援の視点と具体的方法の修正、新たな知見の蓄積を進めていく予定である。推進にあたっては、5自治体に対して、3~4か月おきに合計4回程度の訪問を5ヶ所に対して行い、ヒヤリング調査を実施する予定である。 その後、事例研究調査と並行しながら、3年目には、①虐待をしている養護者への支援、②分離後の再統合を検討する際の養護者支援、③高齢者虐待と判断できない見守り状態の養護者支援、④専門職が「養護者支援の困難性」を整理できる支援などを検討する際に役立つ養護者支援の手引きを開発する予定である。あわせて、報告会の開催、報告書のとりまとめを行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度実施した全国調査(アンケート調査)の回収率を上げるために、締め切りを3月末まで延長したことにより、集計を業者に委託した経費の請求が次年度になる。そのために、残額を繰り越して翌年度分と合わせて支払いを行う予定である。
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Research Products
(1 results)