2018 Fiscal Year Research-status Report
社会福祉法人の「地域における公益的な取組み」に関する組織ガバナンス研究
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18K02167
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Research Institution | Japan College of Social Work |
Principal Investigator |
村田 文世 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 准教授 (80465781)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 社会福祉法人 / 社会福祉法人制度改革 / 地域における公益的取組 / マルチステークホルダー理論 / 組織ガバナンス / 事業ドメイン |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度となる平成31年度の計画として、①文献研究により、マルチステークホルダー理論に依拠した理論枠組みの検討。②「事業ドメイン」の定義を援用して公益的活動の類型化を行い、先駆的事例に対する予備調査を実施、という2点から研究を行った。 具体的には、①について、社会福祉法人制度改革や法人の「公益的な取組み」に関する先行研究を、社会福祉学(地域福祉論、福祉経営論)をはじめ、会計学、行政学、など隣接領域を含む議論や、現場からの実践報告、政府資料などを基に体系的に整理し、本研究の意義と立脚点を明確化した。その上で、これまで地域福祉論などを中心に議論されて来た「公益的な取組み」について、国内研究では未だ議論が不十分な社会政策の観点(NPOのアカウンタビリティ)から理論的考察を行った。また②については、「事業ドメイン」の定義に基づく理論的仮説を基に、予備的調査の候補先を選定し、そのうち一部の社会福祉法人を訪問した。低所得者に対する取組みやNPO法人等との連携のあり方等について情報収集を行った。 これらの成果については、本年度、学術論文の公刊、学術発表までは至らなかった。しかし、現在、学会発表、論文化に向けて作業を進めている。「事業ドメイン」の理論的仮説については、前年度に掲載決定した研究代表者(単著)による査読付論文「地方分権下における社会福祉法人制度改革の意義」『社会政策』10巻1号,2018年6月)が公刊されるなど、今後の研究に道筋をつけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来、予備的調査を平成30年度に終える予定であったが、文献調査を中心に研究を進めたため、結果的に一部法人のみしか実施できなかった。来年度早期に予備的調査を終え、組織ガバナンス分析の対象法人を選定する予定である。具体的には、東京都、千葉県、埼玉県、静岡県、京都府、奈良県、香川県、大分県、鹿児島県など全国の社会福祉法人をフィールド調査の候補に据えている。代替先を含めて研究代表者の資源を動員して厳選する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
分析枠組に援用するマルチステークホルダー理論については、引き続き海外(韓国、英国等)の社会的企業や国内の先進事例を参考に、2年目の課題である「公益的な取組み」の可視化の可能性を視野に理論的考察を深めたい。また、本年度の成果を含めて、国内外での学会発表、論文化を通し情報発信を行う予定である。 「事業ドメイン」の概念から導出した公益的取組の類型化について、遅れているフィールド調査を進めると同時に、ガバナンス分析の対象先の情報収集等を行う計画である。
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Causes of Carryover |
本年度、文献研究を通した理論的考察や事前の情報収集に重点を置き、当初予定していた全国の先駆的法人等への予備的調査に遅れが生じたことが次年度使用額が生じた理由である。来年度早期からそれらについて本格的に実施するとともに、社会的企業の海外視察や海外の学会参加なども予定しており、旅費・人件費などに充当させる計画である。
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