2019 Fiscal Year Research-status Report
Restoration of Deviant Acts by the Youth with Different Cultural Backgraound, and Construction of Multicultural Society Matched with Japanese Conditions
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18K02171
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小長井 賀與 立教大学, コミュニティ福祉学部, 特定課題研究員 (50440194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
須藤 明 駒沢女子大学, 人文学部, 教授 (20584238)
川邉 譲 駿河台大学, 心理学部, 教授 (90544940)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 異文化背景 / 社会統合 / 若年犯罪者 / 過激化 / 犯罪リスク / 犯罪防止 / 国際比較研究 / 質問紙調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には異文化背景を持つ犯罪者・非行少年群に対する量的調査を実施した。法務省保護局の支援を受けて全国の保護観察所経由で、事件係属している異文化背景を持つ保護観察対象者に質問調査への協力を依頼した。回収率が低かったので、時間を開けて2度に渡って調査を実施し、有効回答計111通を受理した。また、法務省矯正局の支援を受けて瀬戸少年院、多摩少年院及び久里浜少年院の在院生の協力を得て、計20通の有効回答を得た。2019年12月からは、これらの入手したデータの集計を行っている。 なお、上記少年院には当研究代表者と分担者2名が分担して出向き、少年院在院者に直接対面して調査を実施したので、質問紙の回答の背景やその他の情報も得ることができた。2020年度には上記の量的調査の全体的な結果と照合しながら、少年院在院者群の回答の質的な分析も実施し、量的及び質的な観点から多角的に異文化背景を持つ犯罪者・非行少年の実態を探り、有効な犯罪防止策や社会への再統合策を考察していく予定である。 また、研究代表者とフランス司法省付属研修所の若手研究者との研究交流を契機に、フランス司法省青少年司法・保護研修所の全面的協力を得て、2020年3月下旬に、「若者の過激化」問題の関連機関・組織を計5日間視察することを企画していた。うち1日は、フランスの司法官・刑事司法実務家・研究者達と我々日本の研究者を参加者として、「過激化に関する日仏交流セミナー」の開催を企画・立案し、当日のプログラムまで作成していた。しかし、今般のコロナウイルス拡散問題を受けて、このセミナーは、コロナ問題が収束後に実施という条件付で開催を延期された。ただし、同セミナーを企画する過程で、フランス刑事司法関係者と学術的な関係を築き情報交換をした意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス問題による緊急事態のために当研究メンバーは国内の移動ができず、上記犯罪・非行群の対照群として「犯罪と無縁の移住外国人」に対する質問調査が行えていない。調査は郵送で行うことも可能だが、その前に外国人支援組織と協力関係を築けないからである。ただし、2019年度には愛知県や群馬県の移住外国人支援団体の職員と知り合えたので、この縁に拠って、2020年には協力関係を築き、対照群への量的調査を実施したい。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度には、次のことを計画している。 1)2019年度に実施した異文化背景の持つ犯罪者・非行群への質問紙調査の集計と分析を完了する。2)未実施である「犯罪とは無縁の移住外国人」を対象とする量的調査を実施する。3)愛知県と群馬県の外国人支援団体を訪問し、活動状況を調査する。4)フランスの「若者の過激化」関連の刑事司法機関やNGO組織を1週間程度視察し、うち1日は「若者の過激化」をテーマとした終日の日仏交流セミナーを実施する。5)以上の結果や、2018年度に実施したドイツ・イギリス視察の成果を踏まえ、当科研費研究の成果を統括し、「日本型異文化共生社会の構築」について考察して成果及び提言をまとめる。6)これらの成果は、日本犯罪心理学会や欧州犯罪社会学会などで発表する。
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Causes of Carryover |
2020年3月下旬に、当研究の研究代表者・小長井と研究分担者・須藤が、その他2名の日本人研究者とともに、フランスにおける「若者の過激化」の現状と対策を調査研究する目的で同国を視察する予定であったが、延期した。受入機関のフランス司法省少年司法・保護研修所から、「この視察受け入れを一旦保留し、コロナウイルス問題が収束した時点で受け入れを実現したい」との申し出があったからである。 その結果、予定していたフランス渡航費を執行しなかったが、予定していたフランス視察が2020年度内に実現できたら、2019年度残額は全額その渡航費に充てる。同視察が実現できなかった場合は、残額は「異文化背景を持つ犯罪者」の対照群である一般人の調査、さらに、国内の外国人支援機関の活動状況調査の充実・拡充に当てる。 2019年度残額と2020年度請求分と合わせた経費は、質問紙調査とその集計と分析の完了、さらに、その成果の内外での発信のために活用したい。
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