2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on effective support method for recovery from delinquency
Project/Area Number |
18K02174
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Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
湯原 悦子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60387743)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 非行少年 / 立ち直り / 社会的包摂 / 回復のストーリー |
Outline of Annual Research Achievements |
(目的)日本において、過去に非行を行った少年が市民と自らの改善と更生に向けた努力について分かち合った場に焦点を当て、聞き手が少年の話をどのように受け止めたのかを明らかにする。それを通じて、日本において過去に非行をした少年が自らについて語る場を設ける場合、その場を少年の更生に役立ち、かつ社会的包摂が促進されるものにしていくためにどのような工夫が必要かについて示すことが本研究の目的である。 (方法)犯罪や非行の防止をミッションに掲げるNPO法人Aが主催し、元非行少年が自らの立ち直りの経緯と時々の心情を語った市民向け勉強会の参加者アンケート回答325枚の内容分析を行った。 (倫理的配慮)分析に用いた参加者アンケートの結果はNPO法人Aが出版した報告書に掲載済みのものである。分析にあたっては個人や場所の特定につながる情報は省き、結果の公表についてはNPO法人Aの理事長から文書で承諾を得ている。 (結果)勉強会に参加した矯正・保護関係者や一般市民は少年に生じた変化に注目し、少年の持つ力に気付き、彼らの心情について理解を深めていた。元非行少年が自らの改善や更生への努力について語ることは、市民の非行少年への理解を促し、社会的包摂を促進する点で効果が期待できる。過去に非行を行った少年が自らの改善と更生に向けた努力を市民と分かち合う場を設け、社会的包摂の促進をめざすならば、その効果を最大限に引き上げるための条件設定が重要である。少年が犯罪から離脱し更生への強い意思を有していること、少年は本音や素直な気持ちを述べ今に至るまでの葛藤と努力をありのままに語ること、企画側は少年の真意が参加者に分かりやすく伝わるよう、また少年が意図せず人を傷つけることがないようできる限りの配慮をすること、少年の改善と更生を願う人たちが聞き手になり、少年の立場に立って非行の背景や心情を理解しようと努めることが求められる。
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