2018 Fiscal Year Research-status Report
介護保険施設における腰痛予防のための労働衛生教育・研修プログラムの開発
Project/Area Number |
18K02175
|
Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
冨田川 智志 京都女子大学, 家政学部, 助教 (90441881)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 照代 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20293821)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 介護保険施設 / 介護労働者 / 腰痛 / 安全衛生管理体制 / ノーリフティングケア |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、介護保険施設における介護労働者の腰痛予防の取り組み実態を明らかにすることを目的とした質問紙調査を実施した。 調査対象は、2018年6月時点で近畿2府4県の高齢者福祉施設情報のウェブページに掲載されている全ての介護保険施設1867施設の施設管理者と介護職リーダー各1名とした。本調査は京都女子大学臨床研究倫理委員会の承認を得て実施した(許可番号30-18)。 結果、有効回答率は施設管理者用の質問紙は23.0%、介護職リーダー用は21.5%であった。総従業員数50人以上の施設では、安全衛生/衛生委員会の開催が月1回行われていない施設が21.4%あった。産業医は95.7%で選任されていたが、事業者・管理者が産業医を兼務している施設が32.9%あった。総従業員数50人未満の施設では、職員の健康・安全に関する組織を設置していない施設が39.7%、衛生推進者を選任していない施設が25.8%、安全推進者を選任していない施設が35.5%あった。腰痛予防対策は、福祉用具を使用しない介助法が80%前後、ベッドの高さ調整が80%弱、移動・移乗補助具の使用は65%前後、移乗機器の使用は30%強となっており、従来から実施されている人力のみの介助をベースとした方法が中心となっていた。重要物取扱い業務の規制及び職場における腰痛予防対策指針の認知度は、施設管理者は30%前後、介護職リーダーは10%前後に留まっていた。 意識調査の側面を有する本調査のセレクションバイアスを勘案すると、介護保険施設の現状は、労働安全衛生関係法令等の遵守が不十分であり、ノーリフティング原則に基づく介助方法の浸透は途上段階にあることが考えられる。今後、介護保険施設において、労働安全衛生関係法令等の遵守と重要物取扱い業務の規制及び職場における腰痛予防対策指針の内容の周知徹底・実効性を伴う支援が求められる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では、2018年度は介護保険施設における介護労働者の腰痛予防の取り組み実態を明らかにすることを目的とした質問紙調査の実施及び集計結果のデータ分析までを予定とし、2019年4月から6月にかけて組織的且つ効果的な腰痛予防のための労働衛生教育・研修プログラムの導入施設を選定する予定にしていたが、京都女子大学介護福祉士養成課程の介護実習を受け入れている介護保険施設に本研究の趣旨及び目的、研究方法、倫理的配慮等を文書及び口頭にて説明したところ、協力頂けると内諾頂けた施設が早期に見つかった。 研究実施計画では、介護労働者を対象とした自覚的作業負担度調査を実施すべく2019年度に筋電・加速度計を購入する予定であったが、研究メンバーにスケジュール変更が生じるとともに上記筋電・加速度計がバージョンアップされたため、測定方法を再検討した結果、介護労働者が上記筋電・加速度計を身に付けて業務遂行することの違和感を軽減するため(データの信頼性を高めるため)にも、早期に介護労働者の腰部の表面筋電図、上体傾斜角測定のプレテストを実施する必要性が生じた。そこで、前倒し支払請求によって2019年2月に上記筋電・加速度計を購入し、介護労働者を想定した腰部(傍脊柱起立筋群L3-4位)の表面筋電図、上体傾斜角のプレテストを実施した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は、研究実施計画の通り、4月~6月に組織的且つ効果的な腰痛予防のための労働衛生教育・研修プログラム案の作成、上記プログラム導入施設における介護労働者に対するプレテストを実施する。7月に上記プログラム導入前調査(質問紙調査、身体負担度調査)、8月~9月に腰痛予防のための労働衛生研修会の開催、10月~11月に上記プログラム導入前調査結果のデータ分析、12月~1月に第1回中間報告会の開催(事例検討)、2月~3月に上記プログラム導入後調査(質問紙調査、身体負担度調査)を実施する。 2020年度も研究実施計画の通り、4月~6月に上記プログラム導入後調査結果のデータ分析、7月~8月に第2回中間報告会の開催(事例検討、意見交換)、9月~11月に上記プログラム案の最終検討、12月に上記プログラムの完成、1月に最終報告会の開催、2月~3月に報告書の作成とホームページでの公表を実施する。
|
Causes of Carryover |
2018年度中に介護・看護、労働衛生関連図書を購入予定であったが、介護福祉士養成課程のカリキュラム改正に伴い、関連図書も改訂される旨の情報を得たため、次年度以降に購入することとした。そのことにより、次年度使用額が生じた。
|
Research Products
(1 results)