2019 Fiscal Year Research-status Report
介護保険施設における腰痛予防のための労働衛生教育・研修プログラムの開発
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18K02175
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Research Institution | Kyoto Women's University |
Principal Investigator |
冨田川 智志 京都女子大学, 家政学部, 助教 (90441881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 照代 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20293821)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 介護保険施設 / 腰痛予防 / ノーリフティングケア / 労働衛生教育 / 研修プログラム / 介護労働者 / 身体負担 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年12月から、介護保険施設(特養・老健各1施設)に対して先に開発した腰痛予防プログラムを基に労働衛生教育・研修を導入した。 導入前調査として、11月に施設管理者(以下、管理者)・介護職リーダー(以下、リーダー)・介護労働者に対して腰痛予防に関する質問紙調査(129名)、同施設の介護労働者(6名)に対して身体負担調査(日勤帯前後の自覚的作業負担度評価、同勤務中の上部僧帽筋と傍脊柱起立筋群L3-4位の実効筋電位・上体傾斜角・活動強度・歩数・心拍数測定)を実施した。 質問紙調査の結果、43%の介護労働者が腰痛を感じており、うち65%が「5:強い」以上の痛み(New Borg Scale)を自覚していた。痛みを感じる作業の上位は中腰(71%)・人の抱きかかえ(50%)、仕事中に一日6回以上行う動作の上位はしゃがみ(75%)・中腰(70%)・人の抱きかかえ(65%)であった。用具等を使わず一人で移乗介助している者は90%であった。重要物取扱い業務の規制について内容を含めて知っている者はリーダー5%・介護労働者1%、改訂腰痛予防対策指針については10%・5%であった。管理者・リーダー共に介護労働者の腰痛予防対策に対する意識、ノーリフティングケア(以下、NLC)に対する関心は高かったが、介護労働者の腰痛は必ずしも施設全体として問題認識されているとは言えなかった。身体負担調査の結果は現在解析中である。 12月に、管理者・リーダーを対象としてNLC研修会を開催し、介護職場における腰痛予防に関する講義・演習を実施した。その際、管理者よりスタンディングマシーン(以下、StdM)導入の要望があった。腰痛予防に対する意識向上・定着に繋げるため上記プログラムを再検討し、2020年2月に介護労働者に対して労働衛生教育の進捗状況の確認とフォローアップ、リーダーに対してStdM研修を追加で実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画通り、対象施設(特養・老健各1施設)に対して2019年度中に腰痛予防のための労働衛生教育・研修プログラムを導入できている。また、上記プログラムの効果を検証するための導入前調査(管理者・リーダー・介護労働者に対する腰痛予防に関する質問紙調査、同施設の介護労働者に対する身体負担調査(日勤帯前後の自覚的作業負担度評価、同勤務中の上部僧帽筋と傍脊柱起立筋群L3-4位の実効筋電位・上体傾斜角・活動強度・歩数・心拍数測定)においても滞りなく実施できている。 再検討した腰痛予防プログラムに基づいて、当初の研究計画には想定していなかった介護労働者に対する労働衛生教育の進捗状況の確認とフォローアップ、リーダーに対するStdM研修も実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、2019年12月に開始した腰痛予防のための労働衛生教育・研修プログラムを継続実施し、隔月に労働衛生教育の進捗状況の確認とフォローアップを実施する。11月には、2019年11月に実施した上記プログラム導入前調査(質問紙調査、身体負担調査)と同様の調査(導入後調査)及びフォローアップを実施し、12~1月に上記プログラムの効果に関するデータ分析、それらを踏まえ、上記プログラムを完成させる。2021年2月に対象施設に対して報告会を開催、2~3月に報告書の作成とホームページでの公表を実施する。 昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、研究メンバーが対象施設に訪問して研修及び調査を実施することが困難な状況となっている。そこで現在、当初計画していた研修形式を変更して、施設側担当者とともに協議し、対象施設の状況と意向を最優先とした上で、3密(密閉、密集、密接)を回避した形でのWebを活用した遠隔研修形式、あるいは研究メンバーで作成した講義・演習の映像の視聴研修形式を検討している。
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Causes of Carryover |
当初の研究計画では、腰痛予防のための労働衛生教育・研修プログラムの導入に際して、床走行式リフト及び床走行式リフト用スリングシートを購入予定であったが、研究メンバーで協議し、妥当性のある検証を行うために対象施設2施設ともに同機種のリフトを同時期に導入することにしたため、備品について再検討した。リフト製造販売業者より対象施設2施設ともに無償でレンタルして頂けることとなったため、購入を見送った。また、介護・看護、労働衛生関連図書を購入予定であったが、関連図書の発行が大幅に遅れるとの情報を得たため、次年度以降に購入することとした。これらにより、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(4 results)