2020 Fiscal Year Research-status Report
食品中の花粉・食物アレルギー症候群のアレルゲン分析法を開発し、児童の発症を防ぐ
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18K02200
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
吉光 真人 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (70321940)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | PFS / PR-10 family / LC-MS/MS / ペプチド / 消化 |
Outline of Annual Research Achievements |
セロリアレルゲンのうち、PR-10 familyであるApi g 1の2種類のバリアントに対する同時定量法について、以下を検討して確立を試みた。検量線の直線性の改善:1種類のバリアントについて、検量線範囲の低濃度域で直線性が低下した。定量用ペプチドの吸着、あるいは凝集等によるものと考えられたため、吸着を防ぐ処理を導入したところ、良好な直線性を示した。特異性の確保:本分析法では、セロリに加えて同じセリ科のパセリも検出した。両者のアミノ酸配列の相同性が高かったため、両者を判別できる定量用または確認用ペプチドの設定が難しかった。そこで、判別法としてセロリPCRを検討したところ、パセリを含む他のセリ科植物13種類との判別が可能であった。添加回収試験:2種類のApi g 1をセロリ抽出液に添加し、平均回収率を算出したところ、それぞれ80.4%、95.0%と良好な結果であった。以上より、本分析法の同時定量法としての性能を確認できた。その後、本分析法を用いて、生鮮セロリに含まれるApi g 1の実態調査を実施した。 また、ニンジンアレルゲンのうち、PR-10 familyであるDau c 1の定量法について、前年度に確立した分析条件を基にして検討した。抽出用緩衝液、抽出時間、抽出方法等の抽出条件を最適化し、その抽出液を用いて消化条件を最適化した。定量用と確認用のペプチドについては、検出感度の高さから候補を絞り、他のセリ科植物13種類由来の抽出液における特異性を確認し、決定した。 さらに、上記と同様の手法による、リンゴ、イチゴ、モモのPR-10 familyの分析法の確立に向けて、予備検討を行った。市販ジュース類の一部では、生鮮果物と比較し、PR-10 family が高濃度に含まれる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Api g 1とセリ科植物に含まれる類似のタンパクを判別可能な、特異性の高い分析法の確立に時間を要した。また、セロリ以外の植物のPR-10 family 分析法の検討にも時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずDau c 1分析法を確立する。その後、Dau c 1、Api g 1、Gly m 4(大豆アレルゲン)に対するPR-10 family一斉分析法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れたため、予定通りに予算が執行できず、次年度使用が生じた。研究期間を延長して研究を続行し、得られた成果を発表する。
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Research Products
(1 results)