2021 Fiscal Year Research-status Report
食品中の花粉・食物アレルギー症候群のアレルゲン分析法を開発し、児童の発症を防ぐ
Project/Area Number |
18K02200
|
Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
吉光 真人 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (70321940)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | PFS / PR-10 family / LC-MS/MS / ペプチド / 消化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、カバノキ科花粉症を原因とする、花粉・食物アレルギー症候群(PFS)による児童の果物アレルギー発症例数が増加している。PFSの主要アレルゲンは、感染特異的タンパク質の一種(PR-10 family)である。この発症を防止するためには、食品中のPR-10 family含有量を効率よく分析可能な、信頼性の高い分析法が必要であるが、報告例は少ない。 本年度は、ニンジンDau c 1について、分析法を確立した。本分析法の性能は以下のとおりであった。検量線:一斉分析を見据え、セロリApi g 1と同様の処理を導入した。1-6000 ng/mLの範囲で直線性を確認した。特異性:ニンジンを除くセリ科植物13種類由来の抽出液および野菜、穀類等における特異性を確認した。添加回収試験:Dau c 1をニンジン抽出液に添加し、真度、併行精度、室内精度を算出したところ、それぞれ98.5%、7.1%、8.1%と良好な結果を示した。ニンジンジュースに対し、同様の検討を実施したところ、真度、併行精度、室内精度はそれぞれ89.1%、5.3%、6.8%であった。以上より、本分析法について、生鮮ニンジンおよびニンジンジュースに対する定量法としての妥当性が確認された。その後、本分析法を用いて、生鮮ニンジンおよびニンジンを原料に含むジュース類に含まれるDau c 1の実態調査を実施した。生鮮ニンジンと比較し、ジュース類に含まれるDau c 1は濃度が低い傾向がみられたものの、全てのジュース類で検出された。以上から、Dau c 1はジュースの製造工程で完全には消失せず、残存することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Dau c 1について、定量法の確立に時間を要したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず、セリ科野菜であるニンジンDau c 1、セロリApi g 1に対する一斉分析法を確立する。その後、この分析法の分析対象に、大豆Gly m 4の追加を検討し、より効率的な一斉分析法の確立を目指す。
|
Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れたため、予定通りに予算が執行できず、次年度使用が生じた。研究期間を延長して研究を続行し、得られた成果を論文にまとめ、投稿する。
|