2022 Fiscal Year Research-status Report
食品中の花粉・食物アレルギー症候群のアレルゲン分析法を開発し、児童の発症を防ぐ
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18K02200
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Research Institution | Osaka Institute of Public Health |
Principal Investigator |
吉光 真人 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (70321940)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | PFAS / PR-10 family / LC-MS/MS / ペプチド / 消化 / ニンジン Dau c 1 / セロリ Api g 1 / 大豆 Gly m 4 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、カバノキ科花粉症に関連する、花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)による児童の果物アレルギー発症例数が増加している。PFASの主要アレルゲンは、感染特異的タンパク質の一種(PR-10 family)である。その発症を防止するためには、食品中のPR-10 familyの非意図的な摂取を回避することが重要である。しかしながら、PR-10 familyについては、野菜・果物内の含有量や濃度分布等、アレルゲン摂取リスクに関する詳細な情報が不足している。PR-10 familyを有する野菜・果物は複数種類存在し、かつ食品ごとにアミノ酸配列の一部が異なるため、その摂取リスクを管理するためには、複数のアレルゲンを同時に、かつその含有量を効率よく分析可能な、信頼性の高い分析法が必要である。そのため本研究では、一斉分析および物質の微量定量に強みを持つLC-MS/MSを用いた手法の確立を目指すこととした。 本年度は、セロリApi g 1およびニンジンDau c 1について、Api g 1のバリアント2種類、およびDau c 1の市販のバリアント1種類を分析対象とした。それぞれにおいて良好な直線性を持つ検量線を作成が可能であった。また、Api g 1およびDau c 1に対して、2種類の抽出溶液を適用したところ、溶出溶液の種類にかかわらず、定量値が概ね一定であることを確認した。さらに、様々な食品に本分析法を適用し、測定対象ペプチドのクロマトグラムピークを確認したところ、他食品成分の妨害は見られず、本分析法の特異性が確認された。今後、分析法の実用性を高めるために、同様の手法を用いて、確立した一斉分析法に対して、PR-10 familyである大豆Gly m 4の分析条件の追加を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ニンジン Dau c 1およびセロリ Api g 1の分析法は確立できた。一方、大豆Gly m 4を加えた分析法の、特に抽出条件の検討に時間を要したこと、さらに事業所の移転に伴う想定外の業務負担増加により、計画していた3アレルゲンの一斉分析法を確立できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、大豆Gly m 4に対する抽出条件を検討し、ニンジン Dau c 1およびセロリ Api g 1に適用する。その後、これらの一斉分析法の確立を目指す。抽出条件については、界面活性剤を用いた抽出法、あるいは国の通知法で用いられているELISA検査と同様の抽出法等を検討する。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れたため、予定通りに予算が執行できず、次年度使用が生じた。研究期間を延長して研究を続行し、得られた成果を論文にまとめ、投稿する。
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