2018 Fiscal Year Research-status Report
Thermal properties of polysaccharide hydrogels derived from plants
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18K02206
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
飯島 美夏 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (40367876)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多糖類 / ゲル / 熱的性質 |
Outline of Annual Research Achievements |
多糖類は地球上に最も多量に存在するバイオマスで、大量に生産され、多方面に利用されている。海藻等の植物には多くの多糖類が含まれており、水溶性食物繊維として機能性が注目されているものも多い。多糖類は古くは食品、近年では医薬品、化粧品、生体適合材料としても利用されているが、未知の多糖も多く存在する。多糖類は僅かな化学構造の違いから、水との相互作用が異なる物性を示す興味深い物質である。食物繊維である多糖の新たな可能性を明らかにすることは、幅広い食品への利用が進むと考えられる。ゲルはソフトマテリアルとして特徴的な挙動を示す物質で、多くの分野で応用できる。本研究では植物由来多糖の新たな機能性を主に熱的視点から物性を検討した。 本年度は、代表的な植物由来多糖を用いて、他の成分を複合し、冷却によりゲル化した熱可逆性ゲルの調製能を検討し、ゲル化が可能であることを明らかにした。植物由来多糖を用いた複合ゲルのゲル-ゾル転移温度等の熱的性質を示差走査熱量分析で検討し、さらに、水中での熱機械的性質を測定した。複合ゲルのゲル-ゾル転移温度、ゲル-ゾル転移エンタルピーは、複合条件により異なることが分かった。熱機械分析で測定した貯蔵弾性率も、複合条件により変化が認められた。1種の多糖単体のゲルよりも、複合ゲルの方が、複雑な高次構造になっているためと考えられる。 以上の結果から、植物由来多糖複合ゲルの食品へ応用の可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、代表的な植物由来多糖を用いて、他の成分を複合し、冷却によりゲル化させた熱可逆性ゲルの調製能を検討し、ゲル化が可能であることを明らかにした。植物由来多糖を用いた複合ゲルのゲル-ゾル転移温度等の熱的性質を示差走査熱量分析で検討したが、複合ゲルのゲル-ゾル転移温度、ゲル-ゾル転移エンタルピーは、複合条件により異なることが分かった。さらに、水中での熱機械的性質を測定したが、熱機械分析で測定した貯蔵弾性率にも変化が認められた。 これらの結果は、2019年5月に学会発表行なう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は代表的な植物由来多糖を用いた複合ゲルの熱的性質について、主に実験を行ったので、今後は、分子構造モデルを検討する。また、他の植物由来多糖に関して、低水分率領域での熱的挙動から水と多糖分子の構造を実験結果から検討するとともに、多量に水を含有するゲルのゲル-ゾル転移や熱機械的性質を検討する。これらの結果から食品への応用を検討する。
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Causes of Carryover |
熱分析に使用する消耗品は、32000円では購入できなかったため、次年度使用額とし、次年度使用額は、物品費として熱分析消耗品(実験器具)の購入に使用する予定である。
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